個体差はありますが本来のトッケイはむやみに噛みついたりはしません。


行動の大原則。好きなものを得るためか、嫌なものを遠ざけるためのという観点から考えます。トッケイと人間との関係で言えば、噛みつきの理由のほとんどが「嫌なものを遠ざけるため」だと思われます。

それまでの過程で人との経験がほとんどない(特にワイルド個体など)、人との経験に嫌な印象がある(特に手で掴まれたなど)。そんなトッケイ達が人または手を怖がらない方が不自然です。


行動はトッケイからのメッセージ。
「嫌」という意思表示は、まず「顔をそむける」「体の向きを変える」などから始まります。逃げられるスペースがあれば、そこに逃げ込みそれ以上の攻撃的行動は出ないのが普通です。

このスペースの広さは個々の経験で変わってきます。ある個体はわりと接近しても問題ありませんが、ある個体ではすごく距離があるように見えるのに追い込まれたと感じて攻撃行動に出る事もあるので、個々の観察が大切になると思います。

追い込まれたと思うと体を固くし弓なりに持ち上げ、呼吸が荒くなり、一点をじっと見つめる、口を大きく開けるなどの行動を見せます。さらに接近すると、軽く鳴いて「から噛み」(手のすぐそばまで来て口を開き噛むようなそぶりをする)をします。


巣(と同じ役割をするもの)や伴侶などの守るべき資源があり、さらに追い込まれたと感じると噛みつくということになります。

このように噛みつきは「嫌なものを遠ざける」ための最終手段・メッセージです。

噛みつきを定着させない、トッケイとの信頼を築くためには、噛みつくより前の小さなメッセージ(行動)に反応してあげることが一番大切です。噛みつく目的が「嫌なものを遠ざける」ですから、トッケイにとっての望ましい結果は、その場で人間が手を引く、不必要な脅威を与えないということです。

人(または人の手)にならす・印象をよくするための練習は、違う項目で解説したいとおもいます。



尻尾のフリフリ
トッケイ達の尻尾の振り方を観察し、その時の状況と合わせてみた結果の推測です。
威嚇や警戒時にはゆっくりユーラユラと、捕食時や嬉しい時は小刻みに尻尾を振ります。
背中を触れられたり捕まれても尻尾を振ってしまう習性があるようです。
どの場合にもドーパミンやアドレナリンのような興奮物質が脳内で分泌されているのではないかと推測します。
いずれにしろ興奮状態になると思うので、冷静な行動にはなりにくいと思います。
ハンドリングや関わり合い時には、尻尾を含め観察しながら、体全体がリラックスして落ち着いた状態になる事を目標にしています。

 

 

 

掴まれるのが嫌みたいです

 

  

背中を振れられると条件反射のようにフリフリ

 

私自身のエピソードをひとつ。
壁んぽ中に遠くにいトッケイにおいでおいでと指をパタパタしたときがあります。
その時は眠気がひどくよく観察していませんでした。その結果、遠くからすごい勢いで指に飛びつかれ引き噛みをされました。
大量に出血してとても痛い思いをしたことがあります。
指の動きが餌に見えたか威嚇と捉えたのかはわかりませんが、尻尾を振って体を弓なりにしていたのは覚えています。