2019年7月14日の日曜日、爬虫類喫茶アゲインでトッケイ会が開かれました。

今回は生体のいない勉強会を提案し、そこで石綿美香氏によるトッケイのための行動学についての講義を行い、遠くは関東方面からのご参加もあり、総勢12名での開催になりました。

 


講義内容は「仲良くなるために」というのが大きなテーマです。
凶暴などと言われるトッケイですが、他の多くのそういったレッテルを貼られてしまう動物達同様、とても怖がりです。
そのため、仲良くなる=受け入れてもらうために、まず大切になるのは「私達は脅威を与える存在ではない」ということを理解してもらうことです。

トッケイのボディサインの話、どうやって攻撃的な行動に変化していくのか、脅威でないと知らせるための具体的な対処方法、その基礎となる行動分析学、安心してもらうためにさらに一歩踏み込んだ動物に優しい人道的なトレーニングを通じての関わり方、これまであった我が家のトッケイ達の健康や行動の問題に具体的にどう取り組んでいったかなどをたっぷりと盛り込んだものでした。

また「Reptiles Magazine」から翻訳許可をもらい翻訳した資料の配付と簡単な解説、海外の話になってしまいますが、爬虫類のためのエンリッチメントやトレーニングに積極的に取り組んでいるグループの活動やそこで紹介されている動画などの紹介も。

皆さんとても熱心に聞き入ってくださり「途中の休憩もいらない」とのことで、2時間まるまる真剣な勉強時間となりました。


 

質疑応答では積極的なご質問もありました。

印象的なご質問は、「トッケイが電車の音で怖がっているのでどうすれば良いのか」というものでした。

日々しっかりと向かい合われているからこそ気づくことだと思います。小さな生き物に対しての優しい観察にとても嬉しくなりました。

ちなみにこういった場合の適切な対処は、脱感作と拮抗条件付けというものになります。怖がっている対象の音(今回であれば電車)をダウンロード等で入手し、小さな音から徐々にボリュームをあげていき、それぞれの段階で大好きな食べ物などとセットにします。刺激が大きすぎると食べ物さえ食べられなくなってしまうので、一つ一つの段階で落ち着いていられるようになってから刺激レベルをあげていきます。ただ実際の電車の音の場合、音だけでなく振動なども怖がっている要因の一つの可能性があるので、その場合には、そちらへの対処も必要になります。



今回はトッケイ会だったこともあり、トッケイの事が中心でしたが、行動の科学は他の爬虫類にも共通です。
またどこかでこうした学びの場を作れたらと思っています。