ぎゅる~んっ、キーン…、幻聴か? 加計呂麻島にも魔の手が
1月の5、6日の2回にわたって、奄美の森林伐採について書いたが、
加計呂麻島でも同じような動きがあるらしい。
ただし、加計呂麻島の樹々に斧を振り下ろそうと身構えているのは、
鹿児島を代表する企業B社ではなく、種子島の会社らしい。
なにしろ水面下の動きばかりなので、島人でも気づいていない人がいるほど。
らしい、らしい、ばかりで申し訳ないが、なかなか確認しようがない。
以下は噂ではあるが、かなり現実味があると感じられる話だ。
この数年、加計呂麻島の緑に大きな異変が起きている。
深い緑に覆われていたはずの山に、赤茶色のシミが点々とあらわれたのだ。
それは、今も広がりつつあり、一向に減る気配がない。
山肌のシミの正体は、マツクイムシにやられて立ち枯れた松の木だ。
松喰い虫を防ぐ手立てはないこともないが、膨大なお金と手間がかかる上、
100%抑えきることは不可能に近い。
加計呂麻島(瀬戸内町)では、予算に限りがあるとして、
神木だったり天然記念物だったりする、地域でも重要な松、
どうしても遺したい松には薬物を注入して、虫の害を防いでいるが、
その辺に生えているものにまでは手がまわらず放置されたまま。
その枯れ木を伐採しチップに加工して、製紙会社に売ろうという動きがあるらしい。
それだけなら、悪い話ではないのに、
なぜか水面下で動いていて、少しも表面化しない。
勢里の前の海にイルカが現れた
島にチップ工場の設置を目論んでいる人たちは、
職のない青年がいる家などをめぐっては、
新工場ができたら正社員として雇ってやる、
だから協力するように、などという美味しい話をしてまわっているらしい。
これも悪い話ではない。では、なぜ水面下なのか。
危惧される点は、幾つかある。
本当に立ち枯れた松だけを伐採するのか?
恐らく、そんなことはありえないだろう。
よほどの高級材を伐採するならともかく、
チップなどをつくるために選択伐採などしていたら、手間がかかってしょうがない。
商売になんてならないのだ。
ぎゅる~んっ、キーン!
チェーンソーが唸りを立てて、森を薙ぎ払っていくさまが、みえてきそうではないか。
だから、森を丸ごと買って皆伐するに違いない。
ぎゅる~んっ、キーン!
そうしたら、山が荒れ大雨が降れば泥水が流れ込み、
それでなくともボロボロになってしまった珊瑚礁は、
やがて海中の砂漠と化すだろう。
かろうじてこんな場所もある
加計呂麻は約78平方キロあり、けっこう大きな島だ。
八丈島より一割ほど広い。
しかし、全体が山脈といっていいような島で、
商業的に伐採できる場所は限られている。
ということは、チップ工場を稼働させ続けるためには、
神様が降りてくる神山にも手をつけることになるだろうし、
それでも工場の餌(チップ材)がなくなれば、
企業はは当然撤退するだろう。
本気で加計呂麻の森を伐れば、5年もつかどうか。
その時、現地採用のセイシャインはどうなるのか?
残るのは、神様からも見放された荒涼たる伐採地だけになるのではないか?
そんな将来を見たくないと考えている島人たちは、
どうしたらいいのか頭を抱えている。
多くの人に加計呂麻島へきてもらい、その魅力を感じて、
森の伐採に反対して欲しいと願っている。
奄美、中でも加計呂麻島(そして、請島、与路島)は、
今も古い琉球のたたずまいが残っている土地だ。
沖縄以上に、沖縄らしさが残っているといってもいい。
ぼくがそう言っても、ほとんど信じていなかったウチナンチュの友人たちが、
実際奄美を歩いてみたところ、まるで自分が発見したように興奮して、
「ここには、昔の沖縄が残っている」
と明言したのだから、間違いないだろう。
機会があったら、ぜひ奄美を加計呂麻島を訪ねてみて下さい。
特に、いにしえの琉球を垣間見たい人は。