四季の移ろいと豊かな自然を友とし、花鳥風月をこよいなく愛してきた日本人は、それらのエッセンスを住宅に取り入れてきました。
そうして生まれたのが、今に伝わる和風住宅です。自然素材を豊富に用いて、その持ち味を生かす。清楚で深い趣を秘めた魅力と優れた機能性を兼ね備えた和風住宅の素晴らしさを、もう一度見つめ直したいと思います。
【 門 】
1.歴史
門の歴史は古く「古事記」にもその記述がみられますが、当時の門は屋根や戸のない門柱のみ、あるいは鳥居のような姿だったと考えられています。平安時代になると身分や権力の象徴として、塀が高く重厚な門が設けられますが、いかめしい造りは鍵がないためでもありました。
江戸時代には表門の制が敷かれ、大名の地位によって形や大きさが定められましたが、庶民には許されず、一般住宅に門を構えるようになったのは、明治以降のことです。
2.現代
現代は外敵の侵入を防いだり、身分や地位を表すために門を造る時代ではありませんが、やはり和風住宅では屋根付きの門や重厚な門構えがよくみられます。
しかし、門ほどバランスを要求されるものはありません。昨今の住宅事情を考えると、門から玄関までの距離が短く、狭い場所に設けた屋根付きの門では窮屈な印象を与えてしまうように、敷地や建物との調和を考えて高さや門前のスペースに気を配り、家に入りやすい表情を演出することも大切です。
次回へ続きます。

