33兆円のデフォルトを起こした中国最大級の企業 | tokaiama20のブログ

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 恒大集団は中華人民共和国広東省深圳市に本拠を置く(登記上の本籍地はケイマン諸島)不動産開発会社。
 創業者の許家印はフォーブスによれば2019年3月時点で362億ドルの資産を有し、世界22位、中国3位の富豪とされている。また同族経営であり、2019年の「グローバル・ファミリー企業500社ランキング」で25位にランクインしている。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%81%92%E5%A4%A7%E9%9B%86%E5%9B%A3

 中国最大級の企業、恒大集団が33兆円のデフォルトを起こして、倒産寸前であり、中国共産党は救済しない姿勢を見せている。
 この社債は、ゴールドマンサックスやJPモルガンらが、モーゲージ証券化商品として切り貼りして世界中の投資家に販売している可能性が強く、日本の巨大銀行である三菱や農林中金なども兆円単位で保有している可能性がある。

 詳細は不明だが、世界中の金融機関、とりわけ中国債権を扱う、ドイツ銀やシティ銀などが巨大ダメージを負う可能性がある。
 もちろん、民間の小規模投資家は、元本すら還らないことになる。
 33兆円という額は2007年リーマンショックを引き起こした、サブプライムローンに近く、世界経済に巨大な影響を与える。

 中国恒大、20日期限の利払い履行不能との報道 流動性危機深刻に
 https://jp.reuters.com/article/china-evergrande-idJPKBN2GB0H6

 [香港 15日 ロイター] - 中国住宅都市農村建設省は、不動産開発大手の中国恒大集団が9月20日が期限の利払いができない見込みだと主要銀行に通知した。ブルームバーグ・ニュースが15日、事情に詳しい複数の関係者の話として伝えた。

 それによると、中国恒大は一部借り入れについて返済繰り延べやロールオーバーの方向で引き続き協議している。同省は今週、複数の銀行との会議を開催したという。
 ロイターは住宅都市農村建設省にファックスでコメントを求めたが、現時点で返答はない。中国恒大も取材申し入れに回答していない。
 金融情報サービスのREDDは先週、中国恒大集団が今月期限の利払いを一時停止すると、銀行2行に伝えたと報じている。

 中国第2位の不動産開発会社である中国恒大は、多くの貸し手やサプライヤーへの支払いに向けて資金繰りに奔走している。市場では、混乱を伴って幅広い影響をもたらす形の経営破綻に追い込まれる可能性や、「管理された倒産」を余儀なくされる可能性が取りざたされる。一方で、政府による救済の公算は小さいとみられている。

 中国恒大は前日、不動産販売が急減し資産売却も進まない中、1件の債務がデフォルト(債務不履行)となった場合に他の債務もデフォルトとみなされる「クロスデフォルト」のリスクを警告。今後取り得る選択肢を探るべく、アドバイザーを起用したと発表した。

 フィッチ・レーティングスは14日、中国恒大集団がデフォルトとなった場合、多くのセクターで信用リスクが高まるとの見方を示した。ただ、銀行セクター全体への影響は対処可能ともした。
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 引用以上

 中国恒大問題、業界全体に波及の恐れ=ゴールドマンとJPモルガン
 https://www.reuters.com/article/china-evergrande-debt-goldman-sachs-idJPL4N2QH4D8

 [ロンドン 15日 ロイター] - 米ゴールドマン・サックスは15日、過剰債務と資金繰り不安に揺れる中国恒大集団の問題が中国不動産セクター全体に波及する恐れがあるとの見方を示した。
 中国恒大は2兆元(3050億ドル)=33兆円近くの負債を抱えており、負債返済やサプライヤーへの支払いのための資金調達に苦慮している。

 ゴールドマンのアナリストはノートで「中国恒大の不動産開発事業に一段の混乱が生じた場合、国内の不動産購入者や投資家のセンチメントに非常に悪い影響を与え、影響は不動産セクター全体に波及する可能性がある」と指摘。同社の選択肢として、オンショア事業の継続に向けた企業改革、第三者による出資、債務・株式の再編を挙げた。

 また、JPモルガンは、同社を巡る状況は悪化しており、他のセクターに影響が及ぶことを防ぐために政府による追加措置が必要だと指摘。顧客やサプライヤーの利益を守るために同社が事業を継続することを期待しているとした。
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 引用以上

 中国問題に一番詳しいと思われる福島香織(元産経記者)の見解は以下のとおり。

 習近平には好都合?破綻危機「恒大集団」を見殺しか 改革開放と決別し、「共同富裕」社会を実現する「革命」の序章に 2021.9.16
 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66967
 中国では不動産バブルが崩壊するとき、こういう状況がおきるのだなあ、と改めて震撼した。
 中国最大の民営デベロッパー「中国恒大集団」の一部理財商品(資産運用商品)の償還が9月8日に期日通りに行われず、さらに9月13日に、広東省当局が、恒大地産が行っている不動産プロジェクトに対して完成予定の不動産を抵当とする融資申請を認めない旨を通達した、との噂が流れた。
 これらのことが引き金となって、恒大集団総本部がある深圳、支社のある上海や重慶、四川省成都などの十数の都市で、数十人から数百人の理財商品購入者や個人投資家、住宅購入予定者がつめかけたのだ。

 ネットに流れる動画や写真をみると、群衆は、元金返金や建設再開を求めて、怒り、泣き叫び、企業関係者に詰め寄ったり、ガードマンともみ合ったり、興奮して失神したりしていた。ビルから飛び降りようとする社員もいた。恒大社員の中には、企業ノルマのために自分で自社の理財商品を購入していた者も多くいたのだ。
 年利7%をうたい文句にしていた理財商品は、もはや元本すら返ってくる可能性も薄い。まさに絶望と阿鼻叫喚の「取り付け騒ぎ」だ。こうした騒ぎが、これから全国に波及するかもしれない、と国内外のチャイナウォッチャーたちが固唾をのんで見守っている。

 中国はこの数年、ずっと「不動産バブル」圧縮政策を、手を変え品を変えて行い続けてきた。それでもなかなか思うように不動産価格が下がらず、ついに昨年(2020年)に不動産融資制限政策「三道紅線」(3本のレッドライン)という「兵糧攻め」策を打ち出した。3本のレッドラインとは、「(1)資産負債比率70%超、(2)純負債資本倍率100%超、(3)手元資金の短期債務倍率が100%を割り込む不動産企業」に対しては銀行からの融資を制限するという政策である。

 この政策により、世界で最も資金調達能力の高い不動産企業といわれた中国恒大集団に、実は3000億ドル(1.95兆元)以上の債務があることが明らかになった。昨年の段階で1.95兆元の債務のうち有利子負債は8700億元あまりを占めていた。

 恒大は3つのレッドラインを越えていたため、銀行からの融資が制限される「兵糧攻め」に遭った。そこで恒大は、昨年から今年にかけて手持ち不動産を3~5割の値引きで投げ売りして、償還金や返済の穴埋めに充てようとしたが、それでは間に合わなかった。さらに一部地方政府は不動産バブルが急激に弾けることをおそれ、販売代理店に対して不動産の過剰な値引きを禁止する行政指導を行った。一部都市では、15%以上値引きして不動産を売ることができなくなった。

 9月初めには地方当局から銀行に「返済」延期を受け入れるよう、指示が出て、格付け会社は「流動性と資金調達能力が悪化している」として恒大の格付けを一斉に引き下げた。株価はさらに暴落し、デフォルト不可避、早晩破産再編の手続きに入るであろう、との予測が広まっていた。
 一部理財商品の償還期日が延期されたことを受けて、9月10日には創業者で大富豪の許家印が「私が一文なしになっても、投資家たちが無一文になることはない」と訴えていたが、許家印の悲壮な訴えがなおさら不安をあおった。

 13日には広東省仏山市南海区住建局から、同区の恒大住宅リスクコントロール強化策として「不動産を抵当にした銀行への融資申請を認めない」「住宅を購入するための銀行への住宅ローン申請を受け付けない」という「紅頭文件」(公式文書)の写真がネットに流れた。このことが、前述の「取り付け騒ぎ」ににわかに広がったようだが、翌日、この文書がフェイクであり、拡散しないように、と当局からの呼びかけがあり、いっそう混乱した。

 恒大集団のデフォルト危機に最終的にどう決着をくのかは、いくつかのシナリオが巷で流れている。
 当初は、やはり最終的には国家が救済してデフォルトを回避する可能性を予測する声もあった。

 中国の国有4大資産管理会社の1社である「華融資産管理」は、恒大集団と並ぶ巨大負債金融企業としてデフォルト寸前までいった。だが結局今年8月に、国有金融大手「中国中信集団」を通じた増資で破綻を回避した。国有銀行の不良債権の受け皿として作られた華融を破綻させてしまうと金融システミックリスクを引き起こすと心配されたからだった。

 だが恒大集団は民営企業であり、この8~9月の中国の動きをみると、華融式の救済はないであろう、とみられている。一部では、破産再編に向けた委員会設立が模索されているという情報も流れており、広東省当局が編制した再編チームが恒大集団に派遣され、財務状況の調査を進めている、という。

 ブルームバーグが報じたアナリストの見立てでは、ドル建て債券保有者は投資額の25%ほどが回収されるという。主要住宅プロジェクトは国有デベロッパーが引き継ぐ形で完成させ、住宅引き渡しとサプライヤーへの支払いをまず守ろうとするだろう。

 最悪のケースとして言われているのが、他の不動産大手企業のドミノ連鎖的な倒産と金融システミックリスクが引き起こされる可能性だ。恒大集団の債務には外国人向けドル建て債券195億ドルも含まれているので、当然、国際市場に対しても影響が小さくなかろう。リーマンショック級と言う人もいれば、それほどでもないのでは、と言う人もいる。

 中国当局者筋からは、金融システミックリスクを起こさず、企業の淘汰、破産再編するノウハウはすでに詰み上がっている、という意見も聞かれる。これがはったりかどうなのかは、私にはわからない。
 またドミノ倒産については、中小不動産企業はすでに昨年だけで500企業以上も倒産しており、すでに不動産業界の構造改革は始まっているという見方もある。

 だがいわゆる「3つのレッドライン」のいずれかを越えている大手・中堅の不動産デベロッパーは60近くある。たとえ金融システミックリスクが回避できたとしても、深刻な失業問題や経済停滞現象を引き起こすことは避けられまい。不動産業は資源・資材、サービス業など非常に幅広い産業とリンクしている。

 だがそういったことも含めて、習近平政権の期待するところなのかもしれない。
 不動産バブル退治の荒療治は、習近平が掲げる社会主義初心への回帰、社会主義的「共同富裕」の理想という目標に通じる経済構造改革の一環であり、学習産業規制、芸能・エンタメ産業粛清などを含む昨今のあらゆる規制強化、指導強化、寡占禁止と連動した動きと考えていいだろう。この動きを左派ブロガーの李光満は「変革」「革命」と呼んだ。革命ならば流血も混乱も犠牲も当然伴うだろう。

 仮に恒大が破綻したとすれば、資産を失う投資家や富裕層は、その革命成就のために必要な犠牲、ということになる。しかも、阿鼻叫喚の取り付け騒ぎで悲鳴を上げる人々の混乱は、月給1000元レベルの6億人に上る共産党の基層階級(労働者、農民)からすれば無関係、むしろ仇富心(金持ちを妬み恨む気持ち)が刺激され、「ざまあみろ」と溜飲を下げるかもしれない。習近平にすれば、中国経済の減速や、規制強化による息苦しさの不満の矛先を自分に向かわせないために、ちょうどよい「混乱」になるというわけだ。

 こういう状況の中で、私は、許家印は「三角帽」を被せられ市中を引きずり回され、群衆の怒りの矢面に立たされる役割を担わされるのではないか、とみている。
 恒大集団創業者の許家印は今年8月半ばに、その責任を負う形で恒大集団の会長職を辞任した。1958年に河南省の貧困農村に生まれ、幼くして母を失い祖母に育てられ、苦学して武漢鉄鋼学院に進学、卒業後は国有鉄鋼企業でエンジニアとして10年働いた後、1996年、従業員20人から恒大を創業。改革開放の波に乗って世界500強企業に育て上げた。

 恒大は、中国280都市で1300以上の住宅不動産プロジェクトを進め、社員20万人、プロジェクトに伴う雇用創出は3800万人、プロサッカーチームやサッカースクールを運営し、映画やアニメなど文化産業にも投資し、最近は電気自動車業界にも進出。実際、中国経済の大きな駆動力であったのだ。

 許家印は2017年、フーゲワーフ長者番付1位になり、総資産2900億元の中国一の大富豪になった。アリババ創業者・馬雲と並んで貧困から身を起こした成功者の象徴であり、まさに中国の改革開放の申し子なのだ。

 しかも父親が抗日戦争に参加した英雄であり、本人も忠実な党員であり、2018年に全国政治協商委員にとなって政治にも参加。「恒大のすべてを党にささげる、国家にささげる、社会にささげる」と公言していた。

 だが、だからこそ、習近平は許家印をターゲットにしたのだろう。貧農の出身とはいえ立身出世を遂げ、エルメスのベルトを締めて政治協商会議に出席する資本家の共産党員は、習近平の掲げる社会主義の初心の姿ではないのだ。むしろ、習近平の政敵、江沢民の「3つの代表」論(共産党が先進的生産力、先進的な文化、最も広範な人民の利益を代表するという理論)を反映したものである。実際、許家印は習近平の天敵ともいわれる太子党の重鎮、曽慶紅ファミリーと親交が深い。

 とすれば、恒大集団が破綻したとして、それは、単に中国バブル崩壊の序章にとどまらない。ポジティブな意味の不動産産業構造改革という話でもなかろう。鄧小平以降の改革開放時代に区切りをつける象徴的な事象であり、改革開放時代を通じて資本家クラブに変貌していた共産党を、再び農民と労働者の党に戻し、富裕層からの富を奪い基層に分け与える社会主義的「共同富裕」社会を実現しよう、という「革命」の始まりと言えるかもしれない。

 だが、それはすなわち、貧しく暴力的な階級闘争が吹き荒れた過去の混乱した時代、みなが等しく貧しい時代に中国が後退するということにはならないだろうか。
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 引用以上

 いくら中国経済の規模が巨大だといっても、33兆円のデフォルトは半端ではない。これまで最大級の倒産といわれていた海航集団の倒産が4兆円だった。今度は桁が違う。
 https://www.afpbb.com/articles/-/3330876

 習近平が救済しない姿勢を見せている理由は、上の福島香織論説が詳しいが、それよりも、債権をゴールドマンのような国際金融資本に証券化商品として売りさばいてきたことにあるのではないか?
 もし、そうなら、倒産による直接のダメージは、アメリカや日本などの投資家がまともに被ることになるから、習近平はニンマリしていればよいのかもしれない。

 すでに、連鎖倒産が500社、20日に正式なデフォルト、倒産宣告がなされれば、その数倍、数十倍の企業が倒産し、日本の中国進出企業(松下・三菱・日立・東芝など)もタダですむはずがない。それより、ローン債権大好きの農林中金やゆうちょ銀などが、どれほどのダメージを負うのか心配だ。
 これまでのところ、具体的な数字はどこにも確認できない。
 ドイツ銀行は、まず助からないだろう。

 恒大集団は、2018年頃からEV事業への進出し、2020年8月3日にEV6車種を一斉に披露。同年9月1日には病院や老人ホームなどの経営を手がけていた恒大健康産業集団(恒大健康)を中国恒大新能源汽車集団(恒大汽車)に社名変更してEV事業会社とした。

 まったく経験のない、完全な別種分野にも、平然と進出し、金の力だけで企業買収によって事業を拡大してきた恒大集団は、事業のほとんど至る所で破綻し、専門家の信用はまるでなかったが、債務はゴールドマンの切り貼り証券手法によって中身が分からないため、日本の投資家は、薦められるままに購入してきた可能性があり、それらは、ほぼ100%灰燼に帰すことが約束された。