東海時計サービス社のブログを見ていただき有難うございます。

クロック井上です、久々にブログを書きます。かなりの長期間ブログを書いていませんでした。

私は8月に交通事故に遭って、首・腰の不具合からほとんど仕事をしていませんでした。

そのため、ブログネタがない状態でした。事故後一か月くらいは一時間程度作業をすると腰が痛くなり作業ができない状態でした。

9月に入って腰の状態は少しずつ良くなっていったのですが、今度は首の付け根を万力で締め付けられるような激痛が時々現れるのです。

11月に入ると腰首ともに少しずつ良くなり。4時間くらいの作業は出来るようになりました。幸いというか今年はクロックの修理依頼が少なく納期遅れなどは発生していないことが幸いです。今後は肩・腰の状態を注意深く考えながら作業していきたいと考えています。

今回の時計は、キンツレーの柱時計です。お客様のご依頼は打たなくなったので修理してほしいとのことでした。時計を分解すると打ち方一番車の歯先が変形していました。

これは厄介な作業です。曲がった刃先を元に戻せばいいのですが、戻すときにバキッと歯が折れることが多いのです。歯が折れれば入れ歯が必要になります。私は入れ歯が大嫌いなのです。入れ歯は完璧に作ったと思ってもうまく動かない時が多いのです。

お客様には最初は50000円の55周年イベントで20%offの40000円でお預かりしていました。但し、今回のように何か特別な修理が必要な場合には見積もりしますとのお願いをしていました。入れ歯修理は10万円クラスの仕事です。お客様に理由を説明すると、「どれだけ掛かっても修理して欲しい」との事。いくら掛かっても良いと言われるとなるべく安く仕上げたいと思うのが技術屋の本音です。

そこで、丁寧にゆっくりと刃先を折らないように少しづつ少しずつ、ドライバーで戻してヤットコで戻してタガネで戻して鑢を掛けての作業。腰が痛いのでストップ。また翌日に同じ作業合計5時間位。

何とかかんとかこんな感じに仕上げました。次は組み上げて風切り車を外して高速で回すと違和感なく動いてくれました。風切り車を入れてゼンマイを一杯巻から9日間動いた状態に戻して打たせると違和感なく打ってくれました。

時計本体の全ての歯車の軸を磨いて地板の穴を正常に戻して組み上げて修理完了。

修理代金は44000円。当初の見積もりよりも4000円高くなってしまいました。

「いくら掛かってもいいですよ」との言葉。 その言葉を聞くと私たち技術屋は「安く・早く・丁寧に」と気合が入るのです。

ご清読ありがとうございました。

何かネタがあったらまたブログを書かせて頂きます。

今後とも宜しくお願い致します。