クロック井上です
昨日お伝えした、セイコーのアンティーククロック「通称姫だるま」の修理に取り掛かりました。
文字盤枠を外すと文字盤がパテで取り付けられている。
♯3でも書きましたが、この時計は戦後に手を加えられた痕跡があった。でも、パテで塗り固めるとはびっくり仰天。
前に修理した人がなりふり構わずに修理したのだと推測します。
前回の修理屋さんの改造点は主に3カ所、
①文字盤の書き換え ②文字盤を枠にパテで塗り固め ③ネジをマイナスから+ネジに変えたこと。
塗り固められたパテを剝がすのは難儀。少しずつ剥ぎ取ってきれいにしてオリジナルに近い文字盤に書き換えました。
さてと、内部の器械の修理に取り掛かります。
私の修理は先に外装から修理し始めて、器械内部などは外側部分の修理が終わってからです。
先に中を修理しても外側がないと時計組み込めないので、精度調整もできないためです。
技術屋(私だけ?)としては直した器械はちゃんと動くのかすぐに調べたい気持ちが強いので、器械を修理したらすぐに動かして作動確認をするのです。
いよいよ器械を分解してみると、器械はしっかりと丁寧に修理してあります。
外装は無茶苦茶だけど内部はしっかり丁寧です。おそらく昔の修理屋さんが真剣になりふり構わずに修理したのだと微笑ましい感じがします。
前回の内装修理はしっかり丁寧だが、ぎりぎり迄に修理したため遊びがないのです。歯車にはほんの少しの遊び(我々はアガキと呼んでいます)が必要なのです。
そこで歯車を分解してホワイトガソリンで洗って、歯車軸を磨いて穴を適切な大きさに調整してアガキを調整します。
調整が終わったら組み上げです。適切な油を付けて分解掃除は終了です。
あとは、ケースに時計を入れて修正した文字盤を取り付けて修理完了です。
あとは実際に動かして精度を入れ込む作業です。この精度の入れ込みに時間が掛かることが多いのです。
修理前と修理後の写真を入れておきます。
左が修理前 右が修理後です
次回は、キンツレーチャイム置時計の修理をお伝えするつもりです。
井上