東海時計の井上です。

10月の終わりの頃、ボンボン時計の修理依頼がありました。

 

100年以上前の、名古屋時計製造合資会社の商品です。

名古屋時計製造合資会社は1893年(明治26)の老舗です。

さてと、依頼品ですがガラス枠とガラスがなく文字盤も剥げています。

私は、文字盤の書き換えをしなければならないと感じたのですが、お客さんは、文字盤はそのままが良いとのことで文字盤修正なしでお預かりしました。

修理に取り掛かると、器械内部の摩耗がかなり激しい状態でした。

輪列を補正して時計を動かすと、ガンギの摩耗が激しくて片振が時折発生する状態でした。

そこで又分解してガンギとアンクルを削ったり伸ばしたりの作業を3回繰り返して何とか正常作動にこぎつけました。

文字盤の剥げた部分はあるのですが、文字盤としての機能は充分果たしているので文字盤修正の必要はなかったと考えています。

お客様のご依頼のとおりで文字盤書き換えしなくてよかったと思っています。

修理屋の修正でトコトン直したくなるのですが、お客様の見る目が正しかったと考えています。

文字盤修正は次の依頼品で行うことになりそうです。