茨城新聞クロスアイ(25年5月15日) より転載します。
日本原子力発電(原電)東海第2原発(茨城県東海村白方)の重大事故を想定した広域避難計画の実効性を検証するため、
県が設置した有識者による検証委員会(委員長・関谷直也東京大大学院教授)の第3回会合が14日、同県水戸市内のホテルで開かれ、
バスや福祉車両など住民の移動手段の確保策など、5項目を
次回以降、検証する方針を決めた。
会合は冒頭を除いて非公開。
閉会後に関谷委員長が会合の内容を報道陣に説明した。
ほかの検証項目は、
防災業務に当たる人員や食料品、避難退域時検査(スクリーニング)などで必要な資機材の確保策
▽住民への情報伝達
▽屋内退避の支援策
▽避難時間の短縮策。
原電が作成し、県が2023年11月に公表した放射性物質の拡散予測は、避難や一時移転の対象となる住民は最大で約17万人と試算した。
検証委はこの人数を基に実効性を確認していく。
前提条件として、県が行う防災対策を検証するとして、
市町村など防災に関わる他の機関は対象外とした。
事故が起きる時期の想定についても
今後、どの時期を対象とするか検討する。
関谷委員長は「5項目を基本にしながら県民の安全、生活を守ることを第一として、必要があれば新たに加えることもある」と話した。
記事は以上。
●最重要の問題点は、
避難するのは17万人までということを前提としていること。
間違っています。
30キロ圏の92万人の避難はとうてい不可能ということで、
そんなに避難しなくても大丈夫、 屋内退避なら大丈夫
ということにしてしまいます。
そうではない、
災害対策は最悪のことを想定するのが基本。
楽に対応できる事故を想定して検証するのは、
それ以上の事故に対応できないということです。
人員不足、スクリーニングの非現実性、など、挙げた問題点は
どれも実現不可能なもの。
それを、問題なしとするために、どんな屁理屈を用意してくるか。
問題なしとする合理的な説明はできないから、しないでしょう。
●検証委員会は 「避難者17万人」 を前提とする点だけ見ても、
まともに検証するとは思えません。
最大17万人とは、風向きが南西方向一定の場合で、
避難するのは 5キロ圏内と那珂市の一部とひたちなか市の一部だけ。
水戸市は1人も避難しません。
原発を動かすのに都合良すぎの予測なのです。
●要するに、委員会は、
都合のよいときに、都合のよい事故が起こり、都合よく避難でき、
都合よく解決する、という、
役に立たないシナリオを編み出すためのアリバイ作りをさせられます。
私たちは批判の目を持って、委員会の検証結果に振り回されないことが大事です。