石垣市で突如沸いて一気に進んでいる、石垣港-台湾基隆港を結ぶ定期路線開設の動きについて前回、「怪しげな台湾航路開設の動き」としてブログを書きましたが、更に調べていくと、その疑念が更に深まっています。

前回ブログでも指摘しましたが、貨物搭載用のサイドランプを設置する為に7億円もの国の補助金を活用とあったので、台湾企業が保有する船舶にそのような事が出来るのかと思いましたが、情報を収集すると、どうやら石垣市がサポートして発足する新法人が「ナッチャンRera(レラ)」を現在所有す「WAGONGROUP」から購入するのではないかという事でした。

12月26日八重山日報記事より////////////////
「課題は採算性だが、市は市民限定の島民割(片道1万5千円)、ふるさと納税を活用した運賃補助の継続的な実施で旅客数の確保を目指す。貿易量も増やすため、日台の企業を市内に誘致。原料を同船で台湾から石垣に輸入、加工して台湾に輸出するビジネスモデルの確立を目指す。
 市が示した事業計画案では、日本法人の運航会社を設立。同船を年間200航海分(週2、3回寄港)チャーターし、旅客数は1回400人(乗船率50%)、貨物重量は150㌧(積載率30%)、年間売上は12億円を見込む。加えて、船内販売(免税店)の強化や船体・航路のネーミングライツ販売、旅客や貨物などの増収を図り、3億円程度の更なる売上増を目指す。
 同船は台湾船籍だが、費用削減を図るためパナマ船籍への変更も検討する。
 報告書では、課題として、同船に貨物出入り口「サイドランプ」がない点を指摘。市は内閣府などの補助金活用を検討している。嶋田氏は「改修費は約7億円」と試算。中山氏と嶋田氏は19日に上京し自見英子沖縄担当大臣に計画概要を説明し支援を要請した。」

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新聞記事には、そこまでは書かれていませんが、「ナッチャンRera」の船籍を台湾籍から便宜置籍のパナマ船籍にするとありましたので、そうなのかもしれません。
ただ、日本政府補助金を充当するのに「台湾籍」では、中国との問題も出てきますので、それを回避する為かもしれませんが。

 

それよりも注目する点が、石垣市がサポートして設立する日本法人がどのような法人となるのかです。

そのヒントとなるのが、「ナッチャンRera」の姉妹船「ナッチャンWorld」が、現在どこに所属しているかです。

 

防衛省のPFI事業の実施主体として設立された特別目的会社(SPC)

現在、「ナッチャンWorld」は、防衛省のPFI事業(民間船舶の運航・管理事業)を行うために設立された特別目的会社(SPC)「高速マリン・トランスポート」という会社所有の船舶となっています。
この会社は、総合商社の双日や日本通運、ナッチャンを以前所有していた津軽海峡フェリー等が主要株主となる企業で、主な事業としては自衛隊や在日米軍の輸送業務ですが、一般向けのクルーズなど観光船としても運航されているようです。

また、「海と船の情報ポータルサイト idyllicocean」によると、同社について、以下のように紹介されていました。

 

有事の際、 予備自衛官となった民間船員に自衛隊員や武器を危険地域へ運ばせる防衛省の計画に合わせ、有事の際に使われる民間フェリーを所有する特別目的会社(SPC)として民間の出資により設立された(東京都千代田区)。当初は津軽海峡フェリーの[ナッチャン World]と、新日本海フェリーの[はくおう]を所有する会社としてスタートする。平時は同社が2隻を運航し、民間収益事業のほか自衛隊の訓練や災害派遣に使用するが、有事には防衛省が同社から提供を受け自衛隊員や武器の輸送に使う。[ナッチャン World]は2016年10月から、[はくおう]は2017年4月から有事対応を可能にする予定。

 

防衛省のPFI事業を実施する為に設立された企業は、自衛隊に課された制約に捉われずに船舶を活用できるようにしています。
中山市長は、12月19日に、木原防衛大臣に要請を行った際に、この台湾航路開設についても言及があったようで、木原防衛大臣は「観光の観点から面白いのではないか。ぜひ観光と結び付けて進めてほしい」と応じたようです。」

この発言について、この「観光と結び付けて」は観光と何を結び付けてなのかが非常に気になると指摘しましたが、このSPCのような法人設立を想定しているのであれば、なぜ、台湾航路開設を防衛大臣に要請しているのか、またサイドランプ改修費用を内閣府沖縄担当部局の補助金を充当しようとしているのかが腑に落ちます。
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観光・経済振興、と言えば誰も異を唱えることはありませんが、「観光は平和産業」を隠れ蓑に、このような事を画策して市民を欺いていないことを願います。