このお話はフィクションです、似たような所がありましても、偶然の一致で、実在の人物、お店、法人や実際の事件とは関係ありません。
「ところでさー 、あれから、何度も何度も、太田川店や、本店、東海警察署といったところへ、電話をして、先ほど言っていたような事を、くどくど聞いているうちに、おかしなことが分かってきたの。
最初に口を滑らしたのは、本店の。電話番をしていた人だったわ。
その人の口から、問題のこの作品、警察から、「盗品である疑いがあるから、しばらくの間、売るのを控えて欲しい」と言われていた作品であった事が分かったの」
詳しく言うと、フクフク太田川店にきて、この作品を見つけた捜査員が 「今の所、被害届が出ていないから、警察としては、この作品を、売るのをさし止める訳にはいかないが、いま捜索中の窃盗事件に関係している品物である可能性が強いから、はっきりするまで売るのは控えて欲しい」と言っていった作品だったそうなのよ。
それをきいた私は、すぐに、フクフク太田川店の店長である一条氏に、電話して、そこのところを確かめたわ。
すると、「うちに来た捜査員から、この作品に付いて、そのような事を言われたかもしれません。
でもその時点では、はっきり盗品と決まっていたわけではなく、又、その時の警官から、販売の差し止め命令を受けたわけでもありません。ですから、貴方の所に売ったのです」といけシャーシャーと言うのよ」
「図々しい奴」
「そんな事が分かっていれば、そんな盗品かもしれないような物、誰が買います?
それを隠して、しかも、警察に言われた翌日に、慌てて買い手を探して、私どもに売ってよこしたのですから、悪質よね。
それって、明らかに不当行為とおもわない?
この一事をとっても、この契約は無効だと思うんだけど、先生はどうおっしゃるかしら。
でも警察も警察よね。そんな盗品の疑いがある物を、販売自粛の要請位で、後は、お店の善意にまかせるなんて。
これじゃー、そのお店に、この品物は盗品の可能性がありますから、早く売り逃げした方がいいですよと教唆したようなものだと思わない?
わたし、その事に付いて警察に文句言ってやったわ。
でも警察って、ずるいのよね。
「捜査中の事件だから」と口を濁して、相変わらず何も教えてくれないのよ。
そこで、フクフク本店の店員から聞いた話を元に、その点、どう言う風にされたのか、を再三、問い詰めてやったわ。
すると、やっと、「確かに、その品物については、捜索中の窃盗事件に関連している可能性が強いとは思われました。
しかしその時点では、まだその作品の盗難届が出ていませんでしたから、盗品とは確定出来ませんでした。
その為、この事件の証拠品として提出を申し出でたり、あるいは、販売差し止めの命令を出したりするわけにもいきませんでした。
そこでやむを得ず、販売の自粛を、お願するに留めました。
警察としては、販売を控えてほしいと要請しておいた物が、慌てて売られるなんて事は、思ってもみない事で」と言う,返事が返ってきました。
「盗品かもしれないから売るのを自粛して下さい」と警察から言われていたような作品を、売るというのは、罪にならないのですか」と聞きますと、
「盗品とまだ決まってないうちに、売ってしまわれたわけですから、商業道徳的にはどうかとおもいますが、犯罪としての立件は、難しいと思います」と言って終わりでした。
「考えてみれば、おかしな話よね。盗品かもしれないのに、盗品と決まらないうちに、上手い事、売り抜けさえすれば、それで罪にならなく逃げてしまえるなんてね。
これじゃー、私のところは、まるで、ババ抜きゲームの、ババを掴まされたようなものよねー。
でも、ここでゲームオーバーにするわけにはいかないわ。
今、握らされているこのババ、掴ませた奴に、もう一度、掴ませてやらない限りね。
だからその為、もうひと踏ん張り、頑張ってみるつもり」
「ちょっと待って、
まさかこの作品を、誰か、他の第三者に売ってしまおうと思っている訳じゃないわよね。
そんな事しちゃー、絶対に、駄目よ。
今、そんな事をしたら、あんたは、盗品と知っていて、売るわけだから、明らかに、犯罪になるからね」
「大丈夫よ。そんな法律や、商業道徳に反するような馬鹿な行為はしないから。
ババ掴ませた奴に、もうひと泡吹かせてやろうというだけよ。
だって、このまま泣き寝入りじゃ―、金も惜しいけど、いかにも悔しいじゃない。
正しい事が、通らない世の中がまかり通るなんて」
続く