もう一曲の「O magnum mysterium」についてもちょっとだけ想いを巡らせてみよう。
今回はT.L.VictoriaとFrancis Poulencの2人の曲を演奏する。どちらも超有名な曲だ。
邦題は「おお、偉大なる神秘よ」とか「おお、大いなる神秘」なんて付けられている。
何が偉大なる神秘?何が大いなる神秘?という疑問が当然まず最初に出てくるが
この曲の背景にある「イエスの降誕劇」と「マリア賛歌」ということを想像するになんとなくイメージや
方向性は割り出せる。
Victoriaは冒頭の一節を5度の下降でポリフォニックにSop.-Altでスタートさせ、同じ形でTen-Bassを展開させる。いかにもミステリアスなスペインの教会を彷彿させるプロローグだ。ズーとポリフォニックな絡みを進めて、
「viderent dominum」
でホモフォニックに一度そろえる。そう「主イエスを見る」という所にまず最初の重心が置かれている。
プーランクのプロローグはAlt-Ten-Bassの三声が4分の3の1拍目を休んで2拍目からピアニッシシモでスタートさせる。
プーランクらしい絶妙な和声使いでこちらもミステリアスだ。そこに、本とに甘美で美しくて涙が出そうなSopのメロディーが乗ってくる。プーランクはその後一見ホモフォニックに展開しているように進むが、歌詞をずらしたり、1パートずらしたりして展開させ
やっぱり
「viderent dominum」
で全パートをそろえる。プーランクはその後「jacentem in praesepio」までをホモフォニックに展開する。つまりどのような状態にある「主イエス」を語っている。
そして第2節の「マリア賛歌」に展開する
ここでは
「O beata Virgo」
の扱いがちょっと違う。
プーランクはTen→Altのパートソロを使って、プーランク和声とでもいうべき、非常に特徴的な和音を使用している。そして2度目の
「beata Virgo」をsus4からの解決で終わらせる。
一方ヴィクトリアは
「O beata Virgo」
で再びホモフォニックに展開し、その後巧みな上昇音型をポリフォニックに使用しながら一気に
「Jesus christ」
にもっていきさらに
「Alleluia!」
の三拍子までドラマチックに「マリアへの賛美」を歌い上げている。3拍子で進んでいる音楽は2:1の進行に1:2を挟み、各パートが下降音型で劇的に終焉に向かっていく
一方、プーランクは
「cujus riscera meruerunt portare Dominum Jesum christum. Alleluia!」
の部分は曲にしておらず、冒頭のSopのメロディーをリフレインして終息に向かっていく。
どちらの作曲家も「神秘的」な曲調の中に深い信仰を垣間見ることができる。聖書にある通り、「イエス」は馬小屋で生まれ
飼い葉おけに寝かされ祝福された。その神秘と母マリアが「イエス」を宿したことの神秘。
どちらも本当に素晴らしい。。
O magnum mysterium
O magnum mysterium,
oh great mystery
大いなる 神秘
et admirabile sacamentum,
and wonderful sacamentum
(amazing) 聖奠(礼拝)
ut animalia viderent dominum natum,
and animals see(Video) master born
動物 主
jacentem in praesepio.
lying in manger!
横たわる に 飼い葉おけ
O beata Virgo, cujus viscera meruerunt
oh happy Virgin whose riscera earned
肉(体) 値する
portare Dominum Jesum christum.
carry master Jesus christ
持ち運ぶ(宿す)
Alleluia!