遠野物語

「始めて早池峯に山路をつけたるは、附馬牛村の何某と云ふ猟師にて、
時は遠野の南部家入部の後のことなり。
其頃までは土地の者一人として此山には入りたる者無かりしと。

 



この猟師半分ばかり道を開きて、山の半腹に仮小屋を作りて居りし頃、
或日炉の上に餅を並べ焼きながら食ひ居りしに、
小屋の外を通る者ありて頻に中を窺ふさまなり。

よく見れば大なる坊主也。

やがて小屋の中に入り来り、
さも珍しげに餅の焼くるを見てありしが、
終にこらへ兼ねて手をさし延べて取りて食ふ。

猟師も恐ろしければ自らも亦取りて与へしに、
嬉しげになほ食ひたり。餅皆になりたれば帰りぬ。

次の日も又来るならんと思ひ、餅によく似たる白き石を二つ三つ、
餅にまじへて炉の上に載せ置きしに、焼けて火のやうになれり。

案の如くその坊主けふも来て、餅を取りて食ふこと昨日の如し。

餅尽きて後其白石をも同じやうに口に入れたりしが、
大いに驚きて小屋を飛び出し姿見えずなれり。

後に谷底にて此坊主の死してあるを見たりと云へり。

  *北上川の中古の大洪水に白髪水といふがあり、
白髪の姥を欺き餅に似たる焼石を食はせし祟なりと云ふ。此話によく似たり。」

 

 

餅を食べる山人の話ですが、
こらしめるために、餅にみせかけて白い石を食べさせた話。

 

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2017年7月30日の記事よりまとめ。

 

もう8年も前になりますが、
早池峰山に登れてよかったですー。
やはり、すごい山でした!

梅雨明けに登ったので、暑くて大変でしたが、
山頂は涼しい夏登山。

 

 

夏登山の醍醐味は、高山植物!飛び出すハート

 

有名なのは「ハヤチネウスユキソウ」固有種です。

(後ほど)

 

早池峰の語源はアイヌ語で 「paha (東) ya (陸) chinika (脚)」という説があります。

 早池峰山は、地形の生い立ちが最も古い山 の一つに数えられ、
 対峙する薬師岳とともに北上高地の 代表的な山岳風景を形づくっています。

 

 

 

ホソバツメクサ

 

これよくみるけど、名前がわからない。(秋草みたいな)

 


壮大な早池峰山



胆沢から続く北上山系。

早池峰山など東北地方の霊山はとても人気です。

 

(南にのびる北上山系)

この時期、月山や早池峰山、鳥海山、会津駒ケ岳、
朝日山、飯豊山などなど・・・・(もう無理ぽ)

やっぱり北上山系といったら早池峰山。

 

河原坊から登り、下りは小田越コースでした。
所要時間6時間ちかく。オエー

 

ごろごろと蛇紋岩

シーズン中は、マイクロバスが小田越コースからでているので一般的には、
小田越コースからですが、この時は団体で参加し、河原坊からのスタートでした。

早池峰山は蛇紋岩がごろごろしていて、河原坊はその石だらけを登ることになる。
下りより安全ということで、選んだコースでしたが、結構ハードで。
小田越コースから登った方が楽でした…。

 

※蛇紋岩とは、かんらん岩が地下深部で水分の作用を受けて変質してできる岩石で、
直接マグマが冷えて固まってできた岩石とは異なる。

岩石の表面に蛇のような紋様が見られることから、蛇紋岩と命名された。

 


 

下りは楽でしたけど、とにかくとても古い地層だけに、
北極と南極の磁場が逆だった時代の岩が隆起していたりもする。(その写真がなかった)
宇宙みたいな山でした。

 

 

小田越からは大理石を含む堆積岩がある。
ここから先は、蛇紋岩王国といわれる。

 

 

早池峰山など北上山系と阿武隈山系は兄弟みたいな地層です。

古くは茨城県なのですが、ゴンドワナ大陸の断片だった南部北上に位置する
早池峰山なので、他に比べて隆起して生まれた地質とは世界でも注目されるほど
珍しいものが多いそうです。


阿武隈~茨城県に繋がり茨城県はゴンドワナ大陸で、一番の端にあたる。
カカセオや悪路王といったまつろわぬ民の多い伝承に、地層は深く関係しているものです。

 

咲き乱れる高山植物。

 

 

 





仙台では太白山が信仰になっていますが、
仙台市内にはたくさん縄文遺跡が残されている。

その理由のひとつに、安山岩という灰色の岩が奥羽山脈から生まれており、
北上山系より新しい。

太白山は安山岩。

地質の特徴などは詳しくわかりませんが、
意図的に古代の人が、聖山としてみていたことは確かです。
蛇紋岩などは、北上山系。

花崗岩は本来地下深くにある岩石でした。

それが地上にあるということは、上部の厚い層が侵食してけずられて
露出した岩の一部が壊れ、石となって河原に流れ着いたと考えられる。

なので、あっちこっちで見られる花崗岩や人工的におかれた花崗岩というのは、
どこかで露出していた花崗岩を持ってきたか、

古代に大噴火で飛ばされてきたか、川に流されてきたのか・・・

阿武隈山系に多くみられる花崗岩は、隆起したというよりは、
侵食されてけずられた花崗岩が顔を出したということになる。



 (天狗岩:昔は、成人するとこの岩に登らされたという)

とてつもない長い時間をかけて地下深くに眠っていた岩が、
陸にあがってきたようなもの。
陸にあがっている花崗岩は地上で呼吸しているのです。

 

 

 

北上川でみつかる花崗岩は、約5億年前に誕生したという。

宮沢賢治が鉱物にのめりこむ理由は、

岩石のもつ永遠性や時間の堆積といった興味から、と。

もっと古く地下に眠っている石灰石をマグマによって焼かれ、
花崗岩となっている場合もあるそう。
早池峰山から薬師岳から南に広がる巨大な岩の連なりがそれ。

 


 (薬師岳)

 

水の力により大地を侵食させ、石灰石や花崗岩を磨いてきたのだから。
セオリツヒメの言う禊祓いは、地球の祓いである。



(ハヤチネウスユキソウ)
 
人工地震などの噂がありますが、到底、人間の手には及ばない世界なのだ。

 

たとえ、何かの人工物で破壊されたとしても、小さな破壊にすぎない。
1億年以上もかけて「水による」浸食に比べたら、微々たるものである。

 

ミヤマオダマキ(右)とミヤマアズマギク(左)が仲良く。

 

ヨツバシオガマ

 

同上

 

ぼやけたけど、スミレかな。

 

 

花々の詳細はこちらを。

 


蛇紋岩の誕生は変わっていて、地球の地殻の下部や、さらに下にマントル上部の
かんらん岩という地殻変動で上昇し、それが水と反応してできる。

蛇紋岩が岩手県の中央部で、巨大な早池峰山になっているのが不思議なんだとか。

笛貫の滝というのがあり、早池峰南麓の大理石も、もともとの石灰岩は日本周辺で
つくられた岩石ではなく、はるか南の海からやってきたものだった。
 
「謎を解くカギは蛇紋岩にある」
さて、この南の海からやってきた地層が、はるか昔、大陸に沈んだものだとしたら?
想像はふくらみますね。

 



蛇紋岩の広がりは早池峰山だけではなく、北上山系を大きく2分すると。
ゴンドワナ大陸は、5億年前の時代にあたる。
今のオーストラリア周辺にあった超大陸。

 



日本周辺には生成しない大理石に変質する前の石灰岩があるのは、
南の浅海だったからだという。やがてゴンドワナ大陸は分裂し、移動が始まった。

南部北上へも北へ移動し、アジア大陸にぶつかった。
そのときの衝撃でマグマが地中で発生し、マグマの熱が石灰岩を焼き、
笛貫の滝などの大理石がつくられた。
 
つまり、日本列島より古い北上山地といえる。
南北で合体したのは、約1億年前。


その後、2000万年~1500万年前くらいに北上は大陸から分離し、東へ移動。
それを「北上島」とよび、北上島はやがて生成した日本列島に吸収され、
隆起することで北上山地となった。

 



※JR:トランヴェール7月号より参照

 

 

瀬織津姫の創世時代

 

 

北上山地は、日本列島にあっても、ゴンドワナ大陸の断片だったといえるもの。
日本列島より古い北上山地は、かつては大きな島だったわけです。
早池峰にセオリツヒメを祀るのは、日本列島の創世に関与してきた島であったからです。

 

(山頂は剣だらけ)


2億年前(三畳紀)の世界図 。

ゴンドワナ大陸は南半球を中心に広がっていた。



 

モンゴロイドの南方起源説にある広大なスンダランドというのがある。

 


モンゴロイドの故郷で、紀元前50000年頃から一部が北上しモンゴルやシベリアにまで
広がりマンモスハンターになった。
縄文人のルーツのひとつといわれている。

ゴンドワナ大陸の歴史を知っていると思われる彼らが、

世界最古の航海をしてきたと実証されている。

旧石器時代に、日本に上陸しているわけです。


3万年以上も前から・・・しかも目的は黒曜石。

ということで、すごすぎて、脳内ドーパミンがはじける山です。

一生に一度、登るべき山。

夏はこんな妄想をして、夏バテをのりこえよう!

 

次も高山を紹介。