「昔、保原の高子沼の近くにある御屋敷に、
三吉という若い奉公人がいた。
毎朝、馬に食わせる草かりに出かけていたが、
不思議なことにいつもずぶぬれになり、
へとへとになって疲れて帰って帰ってきた。
そんなことが何日も続き、
心配にあった長者が、「いったい、どうしたことじゃ」
とたずねても、三吉は、だまって下を向くばかり。
ますます心配になり「何があっても大丈夫だから話してみろ」
と、長者の優しい所にほっとして、ぽつりぽつりと話しはじめ、
「高子沼に草かりに行って、鶏の一番どきが鳴くと、
沼の中で黄金が、朝日にキラキラ光っているんだ。
とろうと思って何度も潜るんだけど、とれねんです。」
「うーむ、それは一大事だ。明日一緒に行ってみるべ」
次の日の朝、長者と三吉は、高子沼にでかけた。
コケコッコー、鶏の一番どきが聞こえると、
太陽が東の空にのぼり、
沼が中ほどがキラキラと輝きだした。
「わー三吉、お前の話は本当だ」
長者は、さっそく舟にのり、力いっぱいこぎだした。
バシャ、バシャ、沼に手を入れ、とろうとしたが、
どうしても採ることができなかった。
疲れきって、舟の上でじっと考えていた長者は、
「そうだ、わかったぞ。
黄金は向かいの山にあるんだ。
朝日に光って沼さ映っているんだべ。」
急いで向かいの山へいくと、
思った通り光輝く黄金がみつかった。
長者と三吉は大喜び。
長者はますます大金もちになり、村人たちにも分けてあげた。
三吉も長者の御屋敷で幸せに暮らしたんだとさ。」
高子二十境展望図
----------------------------------
高子沼は、政宗公が金の精錬所跡を沼に変えて
隠したという話などもあったりします。
沼底から実際、中世の廃鉱石が多数見つかったそうです。
車でもOKですが、
電車でのんびり散策も良いですね。
おしまい。