鹿角にこんな伝説があります。

十和田湖の龍神の
生まれ故郷が鹿角であるという点が面白い。

 

↑参考にした冊子より


「南祖坊の闘いに負けた八郎太郎(十和田湖)
は、生まれ故郷の鹿角に戻った。

青垣の高い山に登ってみると、
米代川、小坂川、大湯川の3つの川が集まる、
錦木の男神、女神の狭い谷あいが見えた。

「ははぁ、あの谷間を埋めて、3つの川の水を貯めれば、
俺の暮らせる湖ができるかも知れねえ」

 



と考えた八郎太郎は、毛馬内の茂谷山に男神、女神の間を挟み、
茂谷山を背負うために鹿角中のブドウ蔓と藤蔓を集めて、
綱ないを始めた。

これをみて、鹿角の神様は、驚いた。

「こりゃ、大変なことになった。
あのままにさせてしまったら、
鹿角中水の中に沈んでしまう」

鹿角の神様たち42人は、大湯の下の方に集まり、
八郎太郎を倒す相談をした。

この神様が集まったところを
「集宮(あつみや)」という。

まず、茂谷山を背負う気になっている八郎太郎に、
石をぶつけ、花輪の日向屋敷にいる12人の鍛冶衆や、
金槌や、つるはしや、たがねなど、
いっぺんに作らせて石を切り出し、
牛の背中に背負わせて、集宮まで運ばせた。

その石、あんまり重く大きいために、
途中で血を吐く牛もいた。

それでその場所を、血牛(乳牛)
とよばれるようになった。

こうやって神様が集まって

自分を倒す計画と知った八郎太郎は、
「これではだめだ。神様には勝てねえ」と言って、

茂谷山にかけた綱をほどいて、鹿角から逃げだし、
米代川へ下って行った。

 


(米代川)


茂谷山の中腹あたりは、
八郎太郎がかけた綱の跡が今でも残っているという。」

 

 

この後の話では、鶏が鳴き、突如、
大地震と共に大洪水が起こり、

慌てて舟に乗って助かる
といった話になっていく。

それから鶏の卵すらその地域では食べなくなったと。」

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大洪水があった伝説のようで、
その洪水を引き起こしているのは、
八郎太郎という龍なのですが、

炭鉱の要素もたくさん入ってます。

八郎太郎も水がないと生きていけないので、
大きな沼地を造りたくても、
なかなか作れないような話になっています。

最後は、田沢湖へいき辰子姫(龍女)と結婚し、
夏は十和田、冬は田沢湖へ行くといった話です。

 



田沢湖は日本一の深さから、二人の愛がその深さを示しており、
また、その愛が年々深まっているので、

 

田沢湖も年々深くなっている。

と言った話で終わっています。
なんだか感慨深い話です~ぅ。

伝説の「日向屋敷」は、
花輪鍛冶の発祥地です。

日向族の関連もあると思います。

「ブドウ蔓」と「藤蔓」も、
鉄と植物で戦ったあの話、

モレヤ(鉄かぎ)、
タケミナカタ(藤蔓)に、似ています。

まあ、いろいろと伝わっている各地の伝承を、
総合的というか、繋いで書かれていると思います。


石巻の鳥屋崎神社は、田道将軍が東征に際し、
海上安全を祈願し 無事に伊寺水門の
鳥屋崎に到着したと伝わります。

 



そこで、当地に港湾の神として、
「伊豆能売神(いづのめ)」を祀ったという。

伊豆能売神とは、
黄泉の穢れから、
禍津日神二柱(大禍津日神、八十禍津日神)が生まれた。

 

 

白髭水の大洪水

 

さて、
前回の上毛野田道将軍を祀る由来から、
津軽の猿賀神社由縁に、567年の大洪水のことと、
白馬に乗った田道将軍の神霊の言い伝えが、

白髭じいさんのサーフィン・・・、
いや、洪水や津波を教えてくれた
白髭水のことを思いだしました。



岩手の石神神社へ行った時に書いていた内容ですが、
1247年の猿ヶ石川近くの高舘に鎮座していた社が、
「早池峰白鬚水」と言われる大洪水により、
高舘が崩れ流出したこと。

「十二白髭洪水の事」として、(白髪or白髭ともいう)
宝治元年(1247)の大洪水の時、
白髭の翁が屋根の上に立ち流れていった
伝説が紹介されています。



後、大洪水のことを「白髭水」と
呼ぶようになったそうです。



柳田国男は『山の生活』では、

「白い毛を長く垂れた神様が大水の
出鼻に水の上を下って来る姿を見た」

「山から岩を蹴りながら水路を開いた」
などと伝えられている為、

治水工事で崩落した土砂災害のことも
伝説として語られたと思います。

それを、八郎太郎が暴れたと
解釈するのでしょう。

「牛」がよく登場しますが、
牛が湖に沈められた「赤牛」伝説も、
人柱として伝わっていると思います。

 

 

 

 


赤は、土砂で崩れた土が赤い、

ことから由来するそうですが。

福島では、
水の中で赤牛と機織姫が、
一緒に暮らしているという伝説。

 

 

水の鎮魂するのは、機織姫なのですね。

 

ということで、
鹿角の話しは、これでおしまい。


丹党の話しもいろいろあるのですが、
またそのタイミングが来た時に
書こうと思います。

どんどはれ。