過去記事(2018年)です。

山形県は白蛇伝承が多い気がします。
天童の他に、山辺にも蛇伝承がありました。

 

 



「玉虫」という名前のため池。

 



「昔のこと、山野辺のお城に玉虫という大変美しく動作もしとやかな娘が
奉公していました。

玉虫は、働き者で殿様から奥方様からも非常に気に入られ、
台所の仕事を仰せつかった。


特に玉虫の炊いたご飯は良い香りがしておいしいのでした。

また、玉虫の美貌は、お城勤めの若侍の間で評判がたち、
「誰が彼女を射とめるだろうか」などと、大した人気でした。

玉虫があまりにもかわいがられるので、
他の女中たちは妬むようになった。

誰が言いふらしたのであろうか、
「玉虫は殿様に蛇を入れて炊いた飯を食べさせている」

との噂がたち、たちまち城中に広がった。

そんな噂が身近に漂っているとは露知らない玉虫は、
朝夕の仕事もまめまめしく働いていました。

 



奥方はどこまでも彼女の味方であったが、
玉虫の疑いを晴らすためにもはっきりした
証拠を見ておこうとした。

ある朝、奥方はこっそり台所にしのんで、
彼女が炊いた釜めしの蓋をとってみた。

釜の中には、

白い蛇がどくろを巻いたままで湯気を立てている。

今まで信じ切っていた奥方は、
一気に気力が抜けて目がくらむばかりであった。

そしてその夜のことである。

玉虫の姿は城中から消えてしまった。
玉虫の遺骸が玉虫沼に浮いていたのはその翌日であった。

玉虫沼に何時行って見ても、水面が清らかに輝いているのは、
玉虫姫が毎朝早く掃除をするからだ、と言われている。

五月二十一日の玉虫明神様の御縁日に、
東の空のほのぼのと白むころに行ってみると、
玉虫が御殿勤めのときの美しい姿で水面を掃いている姿
見ることができるそうです。

そしてこれを見た人は一生幸運に恵まれるという。」


※山辺夜話しより(武田泰造著)

 

弁天様を擬人化して物語にしてます。

白い蛇は、臼(うす)であり、

ウカノミタマ(宇賀神)です。

 

全国に伝承される異類婚と分類される昔話。

化ける姿(正体)をあかされると姿を消す。(鶴の恩返しなど)

 

タタラ場で働く「飯炊き女」という裏の伝説も隠れてます。

砂金がとれた地域だったかもしれない。

 

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「ため池百選」というのがあるんですね。。。

 



応永年間1394年~1427年につくられた山形県内最古のため池で、
現在も120haの灌漑用水として使用されている。

 

 



鳥居があって石碑などもあるので、皇女だったのでしょうか。
それに台所を司るのは斎宮なんですよね。

 

 

大臣・将軍家など貴人の妻に対して用いられた呼称

 

図:白拍子(イネハポ作成)


ただ、斎宮は室町時代(御醍醐天皇まで)
から廃止されているらしい。
なので、斎宮伝承はもっと古く、
玉虫沼ができたのは後のような気もします。

 



伊勢から派遣された若い女性が出羽柵ができた関係で、
このあたりに住んでいたのかね?
玉虫姫も斎宮であり、白蛇が巻いているのは宇賀神さん。

鶴になって飛んで行ったのではなく、
蛇となって沼に消えていったわけです。
いずれにしても「白」なんですね。

白蛇は弁財天の化身が定説。

そういえば、岩沼の斎宮伝承には近くに
金蛇水神社があり弁財天ですね。

福島県の新地町も湧水には弁財天の石碑がありました。

水は弁財天ですから、玉虫姫が弁財天の化身になっている。

鶴の恩返しと同じで、
正体がばれると飛んで行くとか消える話しになっているが、
斎宮もいろいろありそうです・・・。

斎宮は任命されると、3年間謹慎生活を送るそうです。
でも、若い女性なので、密会もあったとか。

別の物語では身を投げた話しになっています。
その日は、必ず雨が降るそうです。

おそらく、人工の沼なので人柱と弁財天は関係しているかもしれない。

巫女というか斎宮のような若い女性は、
水と深い関わりがあると考えられてきた。

 



このような伝承や立派な石碑をみると、松もそれで。
松は長寿の意味がありますが、
「松に絡まる蛇」はよくある伝承。
 
蛇の化身にしているのは、
「巳待講」という講があり、巳は蛇のことです。

女性のオナカマさんのような人たちなども含め、(男性の巫女)も、
悲しい現実を知って弔っているものかと思います。

 

おまけ----------------------------------

 



※かおりの広場(ラベンダー畑)

 

 

 

 

慈恩寺の泉も

 

 

 

山形は、おしまい。