久しぶりに映画を見に行きました。TVの進化で中々映画館には行かなくなりましたね。放送しないマイナー作品か大画面が必要なSFものしか行かないです。
今回も地味目な韓国映画なんで客席もガラーンとしてましたが多分数は少なくても情熱溢れる目がスクリーンにそそがれた事でしょう。
ネタバレ有りますから見る予定の人は見てからにして下さい。
私がこの映画を見たかったのは、大好きなユノ氏の故郷である光州市が舞台になった実際に起きた不幸な事件で、殆ど街を見たかったに等しい不埒な動機でした。38年も前なら今とは違うだろうけど街には興味がありました。事件はユノ氏の生れる前で1980年5月に起きました。ユノパパが二十歳の頃と思われます。兵役に行ってた頃かも知れないし、一部に電話はあったけど今の様な通信網など無い時代ですから地方の一都市で殆ど封鎖された状態で起きた事件は、報道を規制されたら市外の人は何も知りません。民主化を叫ぶデモ隊に向かって時の軍政府が発砲、沢山の人か亡くなった事件で取材したドイツ人記者が明るみに出したから収束したんです。天安門事件の様に世界の目が有っても発砲鎮圧されるんですから規制された社会は怖いです。
一歩市外に出ると何も無かった社会生活が存在する場面、私には阪神淡路大震災当時を連想させました。あのとき程、理不尽さを感じてショックだった事はなかったです。
主人公のタクシー運転手はソウルで、妻を亡くして子育て中の貧しい中年男、遠い光州市まで外国の新聞記者を運ぶ仕事にありつき行ったものの帰れなくなって事件に巻き込まれるんです。光州市のタクシー運転手仲間が助けてくれて脱出するというエンターテイメントに差上がってます。
この辺り、韓流は上手いですね。光州のタクシー運転手がこんなに硬派の正義漢ばかりで、田舎というか昔の人情で助け合う韓国らしい見せ場もあり適度な娯楽作品に仕上がってます。証拠を見逃した若い士官もこのままではダメだと進展を止めたかったんだろうね、最後は悲しいですが脱出に成功して良かったです。
ラスト年老いたこの記者が恩人の運転手を探すんですが教えられた名前は偽名で、名乗り出る事もありませんでした。確かに自国の不祥事ですから表舞台には出られないですよ。この国のことだからアンチが出て来て何するかわかりませんから。運転手も韓国人でなければ名乗って出れますが韓国人である事がこの映画のポイントでも有りますからね。秀作でした。
今も自国民を殺す為政者は居るし、人間世界が平和になるのは永久に無いと思うけど平和を求める努力はしないと、それが出来るのも人間だけだと思うから。