田舎の公演で歌舞伎、市川海老蔵みて来ました。
人気と実力は流石ですね、一階は満席二階三階席が判らないけど当日券を売ってたので完売では無い様です。2時間予定の3部構成の公演ですが、海老蔵が出てくるのは1部の三番叟後半10分と3部の『男伊達花廓』20 分だけです。

老舗の大劇場での歌舞伎とは違って、最後とカーテンコールでは小さく手を振って幕が降りましたから笑ってしまった。出番の少なさも。
でも会場の中には初めて歌舞伎なるものを生で見た人は少なく無い筈で、コレが歌舞伎だ!っていうものを見せましたね。まだ重鎮では無いものの
歌舞伎界の至宝、リーダーですからね、宣伝普及活動してる訳です。

『翁千歳三番叟』は素踊りで、歌舞伎で観たのは初めてかも。紋付袴の翁と千歳は門下の九團次と大谷廣松で海老蔵の三番叟は衣装は付けてるものの素顔です。少し前から坊主頭ではなく髪を伸ばしてるので様にはなってます。その髪の半分白髪が渋みを出してて若過ぎず老けてもいないのが良い感じ。少し前の痩せ過ぎからは戻ってる様に見える。鈴の音が小さく形ばかりの様な気がした。

後ろに鼓三台大鼓笛太鼓、上手に歌と三味線3人づつ、板付きでの登場なので袴は省略の様で前掛式のもので形ばかり、あまりにも柄がお揃いなので分かった次第、こんなの初めて。マスクは黒のスポーツマスク式、口を隠してるので謡ってる人が判らないのが残念だけど他は通常運転。
地方でここまで本格的なのは、このホールのオープニング公演の一貫だからでしょうか?珍しい程本格的です。

『棒しばり』コレは全くの狂言の出し物です。
こんなの始めて、普通に狂言でした。笑い話ですから気楽に観れるし、歌舞伎は狂言や文楽と同じ分野の芸能、同一線上のものであるのを実感した。九團次はかつて観た舞台での迫力ある演技が素人集団の中で唯一プロの役者がいた様な記憶がある。その鋭い眼差しは覚えがあった。大谷は女形役者らしく普通に大人しめの若手みたいです。

『男伊達花廓』廓で人気の伊達男を懲らしめてやろうとする侍二人が反撃にあう立ち回りもので、奴達がトンボを切る場面や4本の傘の傘回しや、暫の柄合わせ、荒物の見せ場を切り取った僅か20分ながら歌舞伎らしい出し物。良い場面を選んでますわ。
海老蔵もきっちり白塗りメイクでした。

2時間のうち30 分は休憩ながら、凝縮した歌舞伎らしさも出てるので地方公演にはうってつけですが、満員の二千人収容で最前列でも1万円以下では儲けは無いでしょうね、短くて安い!私的には丁度良い気もする。翌日も公演が有るということは今夜どこに泊まるんだろうなぁ?気になる。

田舎でも客が呼べる海老蔵ならではの歌舞伎普及活動でした。