みなさん、こんばんは、ムラタです。
昨日7月9日から、いよいよ帝劇最後の組み合わせがスタートしました。
今日は、早替えについて、ちょっとお話ししようかな、と思います。
以前の記事でちょっと触れましたが、「レミ」は、36名のキャストが300くらいの役を演じています。
最初から最後まで同じ役を演じ続けるのは、バルジャンとジャベールの2枠のみ。
残る34名(子役含む)のキャストは、それぞれに、2〜14役を受け持っています。
中でも、演じる役柄も着替えの回数も多いのが、テナルディエ率いる強盗団の一員、クラクスー。
大津裕哉さんと土倉有貴さんが交互出演している枠です。
クラクスーの場合、
1)プロローグ冒頭の "囚人"
2)バルジャンが半分の賃金で追い出される農場の "農夫"
3)部屋はないとバルジャンを追い払う小さい宿屋の "客"
4)司教館の外でバルジャンが捕らえられた時の "見物人"
5)♪1日の終わりに の "失業者"
6)ファンテーヌの働く工場の "労働者"
7)娼婦たちを「笑えよ、仕事しろ」と追い立てる "ヒモ"
8)バルジャンが荷馬車を持ち上げる時の "見物人"
9)バルジャンが正体を明かす裁判所での "傍聴人"
テナルディエの宿屋では、表には登場せず、袖で "影コーラス" を担当し、
10)ベガーと呼ばれる10年後のパリで "貧乏人"
11)続くパリの場面で、テナルディエ一味の "クラクスー"
12)ABCカフェ〜民衆の歌で "学生"
13)バルジャン邸の襲撃場面で、再び "クラクスー"
14)ワン・デイ・モアで、"学生" に戻る
で1幕が終了します。
2幕は、1幕終わりから引き続いての "学生" としてバリケードで戦った後、
15)下水道でテナルディエが引きずって出てくる "死体"
16)カフェソングで三度目の "学生"
17)結婚式の "客"
18)フィナーレ〜カーテンコールは、これまた "学生"
という具合です。
どうです? ホントに忙しい💦でしょ?
もちろん、忙しいのは彼に限ったことではありません。
例えば冒頭。
クラクスーに限らず、囚人から農夫になる男性キャストたちは、A-ha、と歌いながら舞台袖にハケて来たかと思うと、物凄い勢いでキャップと囚人服を脱ぎ、シャツやベスト、パンツ、靴を身につけ、次の農場の場面に向かわなければなりません。
男性の早替場は、舞台裏か上手(舞台向かって右側)の奥の方に設置されていて、そこで着替えるのが本来なのですが、そこまで戻る余裕のないキャストは、開演前に舞台袖に衣裳カゴを置いて(各自、場所は決めています)着替えたりします。
早替場や衣裳カゴの中は、着替えやすいように各自が工夫して服や靴をセッティングしてあります。シャツをかぶれば良いように予めボタンをとめておく、とか、ズボンをドーナツ状にしておき真ん中の穴に足を置いてぐいっとあげれば履けるようにする、とか、靴の履き口を自分の履きやすい角度にしておく、とか。やり方は人それぞれです。
舞台裏の男性用早替場(上手側)。
グランテールの丹宗立峰さん(左)と、クールフェラック/今井学
さん。今年は感染症対策のため、キャストとキャストの間にアクリル板
を入れたり、空気清浄機を置いたりしています。
こちらも、舞台裏、上手側の男性用早替場。アクリル板に貼ってあるの
は、場面ごとの衣裳をまとめた資料。これを見ながら、間違えないよう
準備を進めます。
左から工場長/石飛幸治さん(2幕頭、バルジャン邸の荷物を運び出す
"荷受人" の後ろ姿)、学生姿のバマタボア/武藤寛さん、クールフェ
ラック/持木悠さん、グランテール/川島大典さん。
女性は両方の舞台袖に仮設された "早替小屋" と呼ばれる空間で着替えますが、大きく衣裳を替える場合でも、そんなにのんびりは出来ないものの、男性のように大急ぎということはありません。
男女共に、キャップをとる/かぶる、ジャケットやベストを着る/脱ぐ、ショールを頭からかぶる/肩に羽織る/とる、ズボンやスカートだけ替える、といったちょっとした変化に立ち方や歩き方などの工夫を加えて、別のキャラクターを表現するところも多くあります。
全く違う衣裳に替えなければならない、なのに時間はタイトなのは、1幕後半の強盗団メンバーです。
パリで強盗団として登場した後、
ジャベールの♪スターズと、マリウスがエポニーヌに「あの娘は誰?探して!」と頼んでいる間に "学生" に変身、
ABCカフェから民衆の歌まで学生を演じたら、♪不思議ね私の人生が〜とコゼットが歌い始め、やがてマリウスがやって来て♪夢ではないよ(わ)〜と締めくくるまでの間に再び強盗団の姿に戻り、バルジャン邸を襲撃、
エポニーヌの悲鳴で邸を逃げ出した強盗団は、怒涛の早替えで、直後の♪ワン・デイ・モアに学生の姿で参加、
と、短い時間で強盗団と学生を行ったり来たりしてるんです。
しかも「レミ」の衣裳類は、19世紀前半には存在していなかったファスナーなどを使うのはNG、ですから、いちいちボタンをとめたり、紐で編み上げたり等々、着替えに手間ヒマかかる作りになっています。
そんな条件下で、着替えを繰り返すのですから、1幕後半の強盗団の大変さたるや・・・。
その一方でグランテールやフイイたちは、カフェソングまでずーっと学生のまま変わらない、ため、強盗団が「ひゃーっ!」となっている傍で、ちょっとした憩いの時間が持てたりなんかも😅
舞台裏の早替場、下手側です。
左から、コンブフェール/鈴木たけゆきさん、学生に扮したバマタボア
/宇部洋之さん、同じく学生姿の司教/増原英也さん、フイイ/杉浦
奎介さん。
マリウスとアンジョルラスの着替場は、舞台裏の小部屋です。鏡の背後に6名分の衣装がずらーっと置かれています。
マリウス/竹内將人さん(左)とアンジョルラス/木内健人さんの、2021年初登場コンビ。
ちなみに、プリンシパルで一番急いで着替えないといけないのは、バルジャン、です。
♪ジャン・バルジャンは死んで生まれ変わるのだ〜〜〜っ!!!
と仮出獄許可証を破り捨てるバルジャン。
この後、Les Miserablesのタイトルが出て、♪1日の終わりが流れ、工場シーンへ入ると、程なくマドレーヌ市長(=名を変え地位と財産を得たバルジャン)として登場しなければなりません。
許可証を破り捨てて舞台袖へとハケたバルジャンは、早替場に駆け込み、衣裳さんヘアメイクさんの助力で、顔の汚れをとり、整えられた鬘をつけ、ボロボロの服から上質な紳士の装いへと、大変身を遂げるのですが、ここで着替えのために与えられた時間は、たった1分半、しかないんですよ。
なのさん、hiromi2855さん、ご質問いただいていた早替の件、なんとなくイメージしていただけたでしょうか?
それからお礼すっかり遅くなってしまった方もいらっしゃいますが、Asukaさん、琉花さん、komomo0508さん、nanaminti5さん、さくらさん、れみらぶさん、コメントありがとうございました。
あたしさん、「前回の缶バッチ」再販は?のお尋ねをいただいていますが、前回のグッズは今回は販売していないので、ご了承下さい。
nanako3oさん、「また旧演出版で上演する(できる)可能性はあるのでしょうか??」とのコメントいただきましたが、オリジナル版を継続していた本拠地ロンドンも、2020年1月に新バージョンに変わりましたし、現在のところ、著作権者であるキャメロン・マッキントッシュ社は、オリジナル版上演の意向はないようです。
さてさて、最後に昨日から発売開始された公式グッズの新アイテムをご紹介します。
イヤホンや鍵などを入れるのに便利な、小さめサイズのマルチポーチ、です。
マルチポーチを手に、エポニーヌ/屋比久知奈さん(右)、コゼット/
加藤梨里香さんと、発売日の夜の子役ちゃんたち、宇佐見有紗ちゃん
(右)と三浦あかりちゃん。屋比久さんが表、加藤さんが裏面を見せて
くれてます。
ポーチ、青い半透明な感じで、カバンなどに付けられるようフックが
付いてるんですが、可愛いし、便利そうですよー。
この写真を撮るためポーチ持って袖を歩いてたら、キャスト&スタッフに 「それ何?欲しい!」と、やたら声かけられた✌️シロモノなので、皆さんも是非、チェックしてみて下さいませ。
それでは、また〜。