みなさん、こんばんは。

今週から、「レ・ミゼラブル」カンパニーは、ミザンセーヌに入りました。

 

"ミザンセーヌ"(=ミザンス)というのは、文字通りの意味だと「舞台に置く」、ここから転じて、演出、という意味でも使われる演劇・映画用語で、ざっくり言えば、お芝居の動き・段取りをつけていく段階、という感じでしょうか。

 

演出助手/鈴木ひがしが、場面ごとに「ここはこういう場面」「この役のキャストが出て来る」「こういう動きをする」などの説明を行い、次に、どのタイミングで舞台袖のどこから出て、どの場所でどんな立場で誰と絡むのか、その後、どういう動きで舞台袖にはけていくのか、などを、実際に歌いながらやってみるわけです。

同じ役のキャスト同士が入れ替わりながら、短く区切った場面を、何度も何度も繰り返して動き、どういう流れで芝居が進んでいくか、を身体に入れていきます。

 

 

*1幕、♪一日の終わりに、の冒頭を稽古中。

 仮出獄後、世間の冷たい仕打ちに荒むバルジャンが、司教

 との出逢いで生まれ変わる決意をし、仮出獄許可証を破り

 捨てるまでがプロローグ。その直後に始まるこの♪一日の

 終わりに で「レ・ミゼラブル」本編がスタートします。

 

 

ベースとなるのは、2017年上演版。

ただ、「レ・ミゼラブル」は半年にわたる長期公演ですので、最初に稽古場でやっていたことから、舞台稽古・初日、そして、各地公演を経て行く間に、例えば立ち位置の微妙な修正や、動線のほんの少しの変更などが発生している場合もあります。また、新演出版も2013・2015そして2017年と、既に三度の上演を果たしているため、都度の微細なマイナーチェンジが一体どの年度のことだったのか、記憶が曖昧になっていることも。

なので、まずは演出助手の指示に従って動きながら、前回から継続して出演するキャストたちの間で、

「ここは、こうだったような」

「いや、それは××公演の時にちょっと変えたよね」

「そうだっけ?」

「あ、そうかも」

「いや、それは2015年の話で、2017年はこうだったはず」

と様々な意見が交わされたりします。

 

 

*同じく、♪一日の終わりに、から

 

 

ミザンスはあくまで、2017年の場合はこうだった、という前提を、本稽古の前にキャストが思い出す/入れておく、という作業ですから、歌いながら決められた通りに動くことが最優先課題。

"枠組み"づくりは、まだまだ続きます。

 

 

*1幕、♪一日の終わりに、に続く #工場。

 ファンテーヌは、未婚の母であることが工場長や労働者

 仲間に知られ、追い出されることになる場面です。

 

 

そして、ミザンスと並行して、先週から始まっているのが、衣裳・かつら合わせ。

衣裳担当の英国スタッフ/ローラが、来日中です。

 

新キャストが先行で、これまでのキャストとサイズが似通っている場合は、まずは実際の衣裳を着用し、既存の衣裳が入るのか、フィット感はどうか、無駄な緩みやキツイところはないか、直せば済むのか あるいは 新しく作る必要があるのかなどを、1点1点、細かく確認していきます。

サイズが異なるので新規に製作する場合は、仮生地や本生地で上がってきた物を着て、こちらも微調整をします。

 

 

*マダム・テナルディエ役で初参加の、朴璐美さんの衣裳

 合わせ風景。仮縫い状態の結婚式のドレスです。

 前、後ろ、脇のフィット具体、襟ぐりの開き具合、袖丈、

 スカート丈、袖やスカートのボリューム感や膨ら方など、

 日本スタッフの補正作業を後ろで見つめながら、ローラが

 適宜、指示を出して行きます。

 

 

同時に、かつらが必要なキャストは、これも既存のかつらをかぶってみて、合うか直すか新規か、をチェック。新規の場合は、かつらのベースとなる頭の型をとり、一人一人の生え際や顔立ちに合わせ、どのラインで形作れば良さそうかを検討していきます。

ヘア担当のシュテファンは、彼は3月の来日予定なので、まずは日本側スタッフで下準備を進めているところです。

 

現在の衣裳デザインは、着用する本人にぴったりフィットしていることが前提で、ゆるみたるみはNGですし、縫い代分のラインの膨らみも極限まで削る方針をとっています。

ぴったりすぎても動けないので、ぎりぎりのところで合わせていくことになるのですが、縫い代を出して大きくすることもほぼ出来ない状況なので、キャストは、一度衣裳を合わせてしまえば、そこから先は公演終了まで、体型維持、が必須です(なので、美味しい物がたくさんある地方公演では、みんな苦労します f^^;)。

 

かつらも、今ある髪のボリュームをもとに(髪をネットの中に納めた状態で)調整しますから、髪型を変えるのはNGとなります。伸び過ぎても問題なので、これも現状維持、が基本。

なので、お仕事の関係などで、合わせの段階から髪型を変えざるをえない人などは、予め相談してもらい、今後どうなるかを見込んだ上でかつらを準備することになります。

 

1日に合わせを実施できる人数は、4〜5人程度。

子役を入れて85名の大カンパニーですから、これもまた、まだまだ続いていくのです。

 

 

*佐藤隆紀バルジャン、衣裳合わせ中に。

 ショールをかけた状態での白シャツの襟の大きさ、高さ、

 広がり、立ち上がり具合(適切な固さで程よい角度に

 なるか)などもチェック!するんです。