みなさん、こんばんは。ムラタです。
今日の稽古は、1幕、パリ。
テナルディエの宿屋終わりの音楽が流れ、装置が転換し、10年後のパリの街角になるところから、ジャベールのスターズが終わった辺りまでの稽古でした。

マリウス、アンジョルラス、コゼットは、ずーっと何日も"バイト"の稽古が続いていましたが、ようやく初めて、本役として姿を見せるところへと突入です。

パリの街の一角、貧しい人々が集う場面。
キャストはどうしても、貧しさにあえぐ人々、物乞いをする人々、身体に不具合があり苦しむ人々、といったような、卑屈な人物像を造形しがちです。
この点について演出補のエイドリアンからは、
「みんなが同じ動きをしがちだし、同じような人物を演じがちだが、僕が貧しいと言われる地域を訪れた時、僕に寄って来た人々の中には、貧しくてもプライドの高い人間もいれば、そうじゃない人もいた。少なくとも僕には、その人なりの過去を反映したプライドがあると感じた」
と、彼自身の経験を踏まえた話がありました。





例えば、腕の具合が悪い人がいたとします。
やってきた仕事のせいで傷めたのかもしれないし、病気のせいかもしれない。
腕がダメになるまでの、その人なりのバックストーリーが必ずあるわけです。
そしてそのバックストーリーによって、人物が形成されるわけですから、動き方、何か起きた時の反応の仕方など、演じ手によって様々なキャラクターが生まれます。
ですから、バックストーリーを考えるのは、役者にとって必要不可欠な作業なのです。
ところが、日々音楽に終われ、場面の進行に押し流されていると、頭では必要性を感じていても作業が後回しになってしまいがちです。
その場面の、キャラクターの名前と年格好は考えた。
じゃあ、今何故ここにいるのか? 何をしようとしているのか? どんな人生を背負っているのか?
そうしたディティールを詰めないままに稽古を続けてしまうと、結果、形だけの演技になってしまったりすることが、残念ながらあるんです…。

これは日本だけの話ではない。
舞台に上がっている全員がしっかりとバックストーリーを持っている世界初のカンパニーに、このレミの日本のみんなになってほしい。
これが、エイドリアンとベンからの、キャストへのお願い、でした。

再演だからを前をなぞるのではなく、新しく全員で作品を創っていこう、という気持ちもあらたに、その後の稽古が続いたことは言うまでもありません。




  クールフェラック(鎌田誠樹さん、高舛裕一さん)、
  コンブフェール(杉山有大さん、原慎一郎さん)、
  フイイ(上野哲也さん、神田恭兵さん)とビラを貼付けての
  動きを話す振付のベン



  エイドリアン、ガブローシュに指導中



  物乞いに身をやつしたテナルディエ夫妻
  駒田一さん、森公美子さんペアとジュンモ・バルジャン



  ジャベール登場で、捕まったテナルディエ夫妻と強盗団


明日はABCカフェで~す(^^)



<おまけ>
吉原光夫バルジャン、憩いのひととき(^^)
前髪に付いているのは………(笑)