みなさん、こんばんは。ムラタです。
今日は稽古オフだったので、稽古場レポート番外編的な内容をお届けします。


先日、マリノス班が日産スタジアムで歌声を披露している頃、稽古場では新キャストメインの抜き稽古をやってました。
そこに、司教役/伊藤潤一郎さんと中西勝之さんの二人のための抜き稽古、というのが設定されていたんです。
司教役は、ダブルキャストの二人ともがNew。
先日、演出補のエイドリアンをあれこれ質問攻めにしてぐったりさせていましたが、今日の稽古では本番通り歌いながら動いて、ではなく、"司教"として"バルジャン"に向かい、どんな態度で何を話すか、といった芝居的なアプローチが繰り返されていきました。



  抜き稽古のひとコマ
  演出補エイドリアンが見つめる中、演出助手/鈴木ひがしを相手に、
  "司教"を模索する中西勝之さん、後ろで経緯を見守る伊藤潤一郎さん



そんな稽古を経た後、休憩スペースで飲み物片手にのんびりするお二人に、
「どうですか、お稽古は?今日は抜き稽古でしたけど」
なんて直撃っ!

「あっはっは(笑) 抜き、でしたねぇ(笑)」
なんだ、この笑い~ f^^。
まずは、伊藤さんが、
「何かようやく、出来ていないことに気が付けたっていうか。(芝居の)プランニングしたりして、自分でやっていく作業が今日の、この立ち稽古まではメインだったんですけど、今日バルジャンが実際に目の前にいて、その反応を見て、それを受けてアクションするんだっていうことをやらないと…って」
ふむふむ。
「もちろん(芝居のやり取りだから、そういうことを)やらないとって解ってるんだけど、でも、実際それがこの場で(目の前で)起こってるっていうか…ようやく"実感"として得られた感じです」
なるほど。実際の動きがスタートした、みたいな?
「実感として、それが…まあ、今まで自分がやって来た作業と噛み合わせていく…序章、っていうところでしょうか(^^)」

伊藤さんの言葉に、傍らで静かに頷いていた中西さんは、
「僕は…抽象的な言い方しか出来ないんだけど…(キャストの大半は)2年前に演ってたわけじゃないですか。だから、その(一度出来上がった)世界に入り込むのが、なかなか出来なかったんだけど」
前回からのキャストとは、隔たりを感じることも?
「やっぱり、半年くらい(本番を)演って来た分、アドバンテージあるじゃないですか」
確かに。
半年以上の本番を経験したカンパニーの中に飛び込むと、新キャストはどうしても、自分が"遅れ"てるように感じがちですよね。
「(前回キャストと)同じ空気感とか、そういう所に(自分たちを)持っていくのは、なかなか時間かかるなって思うんです。でも、今日こういう稽古をやってみて、ちょっと皆に近づけたかなって気がしてます(^^)」

劇団四季時代、完成型のカンパニーの中に後から入る経験もしてきたという伊藤さんですが、
「(レミは)出来上がってるんだけど、皆も新しくチャレンジしようとしているなって。音楽稽古からずっとそうだったので、"置いていかれてる”感は今、余り…正直、ないんですよ。危機感持たないといけないのかもしれませんけど f^^;」
「僕は個人的には」
と切り出した中西さんは、
「Billyさんの音楽にかける情熱がびんびん伝わって来て、すごいなって。そこを逃さないようにしたいなって思うんですけどね」
オペラやミュージカルの経験抱負な中西さんも、
「ここまで音楽にこだわっている現場は初めて」

それもそのはず。
Billyさんは初演時、作曲家シェーンベルグの前で全役、男声も女声も歌って直接指導を受けているのですから、作曲家の意図するところを正しく音楽で伝えようという姿勢に妥協はありません。

荒み切ったバルジャンの魂を制する、魔力のような強さと優しさを持った司教。
「どうやって演ろうか」
と試行錯誤の続く二人ですが、きっと、新キャストゆえの新鮮さで2015年の"司教"像を創り上げてくれることと思います。



  伊藤潤一郎さん(左)と中西勝之さん


それでは、また明日~(?)