皆さま、こんばんは!
『屋根の上のヴァイオリン弾き』公式ブログをご覧頂きまして、誠にありがとうございます^^

本日は、『屋根の上のヴァイオリン弾き』をより楽しんで頂くための豆知識を紹介する、
その名も「屋根の上で中の人が考えてみた」、
略して《屋根で考えてみた》シリーズ第2弾です!

本日のテーマは「1905年 ロシアとユダヤ」について。
是非是非ご覧頂きたいテーマです。
写真いっぱいでお届けしますので、最後までご覧くださいね^^

突然ですが、
キャスト・スタッフに渡される台本の1ページ目にはこのような記載があります。

ところ ロシアの一寒村、アナテフカ
とき  一九〇五年、革命期の前夜

当時の日本は、この時、
日露戦争に突入しようとしていました。
また、その後、ポーツマス条約が締結された年でもあります。

一方、ロシアは「ロシア帝国」として帝王が統治する帝政の時代。
ですが、この帝政への反発=いわゆる、ロシア革命の兆しがちらつき始めたのも、この時期です。

では、そんな時代背景の中で、
何故ユダヤ人が迫害され、土地を追われることになったのか……
それは、「ポグロム」という言葉に表されます。
この言葉は、ロシア語で、破滅・破壊を意味します。
特に、歴史上では、ロシアで起こったユダヤ人迫害を示すことが多いようです。

移民であるユダヤ人と、その土地に元々住んでいたロシア人。
この二つの民族が信じていた宗教は、ユダヤ教と、ギリシア正教と異なるものでありました。
宗教や民族が違うことで、いざこざや争いが起きてしまうのは、昨今でも続いている悲しい事実ですよね。


ロシア人青年 フョートカ(神田 恭兵さん)と、
テヴィエ家の三女 チャヴァ(唯月 ふうかさん)。
チャヴァとフョートカは本屋での出会いをきっかけに想いを通わせ始めます。
ですが、二人の間には「宗教の違い」という壁がありました。

同じ土地に住んでいる以上、
ユダヤ人は暮らしていくために、ロシア人相手にも商売をします。
ただ、彼らはお互い余計な干渉をすることなく、微妙なバランスを保ち続けました。

しかし、ロシア革命勃発=ロシア帝政崩壊 の危機が孕み始めた時、
そのバランスを、ロシア政府自らが崩すのです。

そのきっかけが、
1881年の春におきた、ロシア帝国のアレクサンドル2世の暗殺。
アレクサンドル2世の政治姿勢に反感を持ったテロリストによって暗殺されるのですが、
彼の後を継いだアレクサンドル3世は、
暗殺をなんと、ユダヤ人の犯行である、と決めつけたのです。

そう…あくまで一説ではありますが、
帝政ロシア政府は革命を避けるために、
市民の政府に対する不平不満を反らせ、そうした不満をユダヤ人に向けようとした、とされています。

これにより、ロシア内に反ユダヤの風が吹き始め、
ポグロム ー ユダヤ人・ユダヤ教そのものへの迫害・破滅・破壊行為が行われ始めました。


1幕終盤、色々ありながらも、ツァイテルとモーテルは結婚式を挙げることが出来ました。
それを祝う村人たち。


本編のダンスシーンの見どころ、ボトルダンスも披露されます!

しかし……

廣田 高志さん演じる巡査部長と、
こん棒をもったロシア人たちが「政府からの命令」を実行しようと、結婚式が行われている場所へと入ってきます。
幸せな空気がヒリヒリと凍り付き…


破壊行為が始まると、
パニックに陥るアナテフカの村人たち。

本作の設定の2年前、1903年。
悲しいことに、キシナウという都市で最大のポグロムが発生。
60人近くのユダヤ人が男・女・大人・子供関係なく虐殺され、
家や商店を破壊、家財道具を川へ投げ捨てられました。


結婚したい、ということをテヴィエに伝えたくても、なかなか伝えられないチャヴァ。
フョートカが自分から話す、とチャヴァを説得するも、
父の性格をよく知っているチャヴァは、自分自身の口から二人の想いを伝える決心を固めます。

そもそも宗教や民族が違う上に、
こんなポグロムがロシア中で巻き起こっていれば、
アナテフカの村人がロシア人に対して、良くない気持ちを抱くのも理解出来ます。

しかし、彼らロシア人も「政府から命令された」と、
やむ無く行わざる得ない人達も沢山居た、ということを忘れてはなりません。


この結婚式より前のシーン、1幕中盤。
酒屋にて、テヴィエの長女ツァイテルと肉屋ラザールの婚約を祝うシーンです。

最初、ユダヤ人同士での祝盃でしたが、
その後、ロシア人が一緒に踊らないか、とテヴィエを誘います。
村人たちに反対されるも、その手を取るテヴィエ。
そこから、一同大盛り上がり&ヘベレケ状態に……!




一緒に盛り上がり、笑顔を浮かべている彼らの姿。
そして、並んで捧げる祝福の言葉と音楽。
その見応えのあるダンスシーンも相まって、
共に今生きていることを喜んでいるような、幸せな雰囲気が伝わってきます。

なのに、この物語が目の当たりにするのは、残酷な現実です。

人と人との理(ことわり)は美しいのに、
それが容易には許されなかった世界。
ですが、フィールドが違えば幸せを迎え入れることが出来たのなら、
悪いのは決して個々人ではなく、「時代」そのものなのかもしれません。

例えば、パーチック。
彼も、そんな時代を変えるために戦いを挑みました。


広瀬 友祐さん演じるパーチックは、女性・子供たちにも勉強を、と旧約聖書の内容を元に教えを伝えています。
勉強を教えて貰っているのは、四女シュプリンツェ 寺本 莉緒さんと、五女ビルケ 石川 鈴菜さん。

世界が変わり、
電話やインターネット、更にはSNSが発展・普及し、今隣に居ない人・会ったことがない人とも会話が出来る時代になりました。
そうして、絆のかたちは日々変わっています。

ですが、いつの時代も変わらぬ、そして、変わって欲しくない、様々なカタチの「愛」を、この作品は思い出させてくれるのではないでしょうか?
そのカタチは不完全で、イビツで、あやふやなモノもあるかもしれません。
しかし、きっとそれはどんなカタチであっても、
アナテフカの朝日のように輝いていて、また、夕陽にように美しく、愛おしい存在であると思います。

『屋根の上のヴァイオリン弾き』が長くにわたり愛されるのは、
アナテフカに生きたユダヤ人達の日常を描くと同時に、
時代、宗教、しきたりを乗り越えようとした「愛」、
そして、いつの時代も変わらぬ「愛」がそこにあることも、
理由の一つだと、中の人は感じています。

皆さまは、どう感じられますでしょうか?
是非、劇場で彼らとの時間や想いを共有してくださいね^^


最後に!メディア露出情報 を更新いたしました!
明日、めざましテレビ(フジテレビ)の「ググッと!こーゆー録」に市村 正親さんがご登場予定です!!
朝6時30分過ぎと早い時間の放送ではありますが、是非ご覧ください♪♪

ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』
世界は変わっても、家族の絆は変わらないー
親から子へ、子から孫へと受け継がれる愛と旅立ちの物語。
記念すべき日本初演50周年公演をお見逃しなく!








【TICKET】
◆東京/日生劇場
 2017年12月5日(火)〜29日(金)
 *東宝ナビザーブ
  https://toho-navi.com/
 *東宝テレザーブ
  03-3201-7777(9:30〜17:30)

大阪/梅田芸術劇場メインホール
 2018年1月3日(水)〜8日(月)
 *梅田芸術劇場オンラインチケット
  http://ko-ume.pia.jp/

静岡/静岡市清水文化会館(マリナート) 
 2018年1月13日(土)〜14日(日)
 *マリナート窓口
  054-353-8885(9:00〜22:00 ※月曜休館・月曜祝日の場合は翌平日)
 *テレビ静岡
  054-261-7011(平日9:30〜17:30)

愛知/愛知県芸術劇場 大ホール
 2018年1月19日(金)〜21日(日)
 *キョードー東海TICKETS ONLINE
   http://kyodotokai.pia.jp/event.do?eventCd=1732642
 *キョードー東海
  052-972-7466

福岡/博多座
 2018年1月24日(水)〜28日(日)
 *博多座オンラインチケット
  http://www.hakataza.co.jp/lineup/h30-1/index.php
 *博多座電話予約センター
  092-263-5555(毎日10時〜18時)

埼玉/ウェスタ川越 大ホール 
 2018年2月10日(土)〜12月(月祝)
 *ウェスタ川越オンラインチケットサービス
   https://www.seatr.jp/Gekijouaspx/Menu.aspx?trader=163&theater=001

【STORY】
1905年―帝政ロシアの時代、アナテフカという寒村で酪農業を営むお人好しで
働き者のテヴィエ(市村正親)は、信心深くて、楽天家で、
25年連れ添っている妻のゴールデ(鳳 蘭)には頭が上がらないが、
5人の娘たちを可愛がり、貧しいながらも幸せな日々を送っていた。

長女のツァイテル(実咲凜音)、次女のホーデル(神田沙也加)、
三女のチャヴァ(唯月ふうか)、年頃の娘たちの今の最大の関心事は、自分たちの結婚について。
今日もイエンテ(荒井洸子)が、ツァイテルに縁談を持ってきている。
娘たちは気もそぞろ。娘たちにとっても、姉さんが早く結婚を決めてくれないと、
自分たちに順番が回ってこないからだ。
だが一方、ユダヤの厳格な戒律と“しきたり”に倣い、
両親の祝福が無ければ結婚は許されない。

そんなある日、金持ちで肉屋のラザール(今井清隆)からツァイテルを後妻に迎えたいと
申し出を受けたテヴィエは、酔った勢いでついつい結婚に同意してしまう。
長女の結婚相手が見つかったことで妻のゴールデも大いに喜んだが、
当のツァイテル本人には仕立屋のモーテル(入野自由)という相思相愛の存在があった。
ツァイテルとモーテルの熱意に心を動かされたテヴィエは、ついに若い二人の結婚に同意する。
が、結婚の許しを同時に二つも出してしまったテヴィエ、ゴールデやラザールに
何と切り出せば良いのやら…。
さらには、次女ホーデルは革命を志す学生のパーチック(広瀬友祐)を追ってシベリアへ旅立ち、
三女のチャヴァはロシア人学生のフョートカ(神田恭兵)と結婚したいと
言い出し駆け落ち同然で家を飛び出す始末。
そしてテヴィエ一家にも、革命の足音と共に、故郷を追われる日が刻々と迫っていたのだ―。


本日は長いブログでしたが、
最後までご覧頂きまして、誠にありがとうございました♪

今後も本作をより楽しんで頂く豆知識をお届けしますので、
《屋根で考えてみた》シリーズも応援よろしくお願いいたしますm(_ _)m

次回の更新もお楽しみに〜^^