それは、ある暑い夏の日だった。
普段なら、コンビニで買うのはお弁当が多いが、その日は暑かったため、どうしようか悩んでいた。
「どうしようかな・・・」
さすがに、普通の弁当では飽きてしまったのもある。
しかも、その日はなぜだか麺類が食べたいと急に思い出した。
棚の当たりを見渡してみる。
麺類が並んでおり、ラーメン、そば、うどん、冷やし中華、などなど、あらゆる麺類が並んでいる。
そんな中、目に留まったのが、冷製パスタであった。
「おっ、これ、おいしそうじゃん」
ちょっと中を見てみると、涼しげな雰囲気と、さっぱり食べられそうな感じが見受けられたので、
それを手にとることにした。
あいにく、この時間帯はなぜか人が少ない。
もしかすると、1時間昼時間を早くしているからかもしれない。
食べるものは決まったが、飲み物が決まっていないため、飲み物棚を物色する。
「今日は、パスタだから、お茶にしようかな」
苦味の利いた、濃いめのお茶を選び、レジへと足を運ぶ。
お店が空いているせいか、店員さんは女性の店員さんだけあったので、その店員さんの前に商品を出す。
「買った商品は冷製パスタとお茶だから・・・」
と、お金の用意をしていると、ふと店員さんが真顔で
「これ、温めますか?」
と聞いてきた。
「え?」
思わず聞き返す。
「あ、あの、このお弁当、温めますか?」
「え?」
思わず目が店員さんと冷製パスタを右往左往してしまう。
すると、その怪訝な顔に気付いたのか、店員さんが急に、
「あ、温めないですよね~。ですよね~」
と、明らかに動揺した表情でこちらに同意を求めてくる。
「は、はぁ・・・」
「はいっ、冷製パスタとお茶ですね~」
何事も無かったかのように過ぎ去ろうとさせる女性店員。
「パスタにはおはしをつけますか?」
「え?はぁ?」
パスタはフォークだろっって・・・思わず言いそうな顔をしたところ、それを察したのか、
「フォークですよね~。ですよね~」
とまたもや何事も無かったかのように過ぎ去ろうとさせる女性店員。
温めるものも無いため、ビニール袋にパスタとお茶とフォークを入れ、
とにかく支払いを早く済まそうとしているのが見え見えである。
「あの、商品は、そのままでいいですよ・・・」
半ばあきらめ気味に支払いを済まし、そのコンビニを後にした。
それにても・・・と、思わず思ってしまう。
冷たい食べ物をわざわざ温めますか?って聞くって言うのは、いったいどういう神経してるんだろう?
考えれば考えるほど、謎が深まり、その日の昼ごはんは食べた気がしなかった。
「(冷製パスタを)温めますか~?」
今でもあの真顔でいった顔が、脳裏にこびりつく。
どういうことなんだ・・・。
その日以来、その女性店員をそのコンビニで見かけることは無かった。
もしかしたら・・・。
この話を、信じるか信じないかは、あなた次第です。