9年前の今日、3年前の今日 | 次女は21トリソミー ワーママ3人目育児日記

次女は21トリソミー ワーママ3人目育児日記

甘えん坊だけど優しい5歳長女。2歳次女は21トリソミーで心疾患あり、根治術は終わりましたが月の半分は風邪で病児保育にいます。
1.2人目に続き3人目も顕微受精で授かり、このたび長男誕生。
それぞれの育児のことや息抜きに雑記も書いています。

こんばんは、塔子です。
顕微受精で授かった2歳の女の子を育てながら
不妊治療をしています。




9年前の今日、
仕事で山手線に乗っていて渋谷駅に向かう途中、
もうすぐ駅に着く、というところで地震が起きました。

線路沿いのビルが、なにかの間違いのように
スローモーションで横に揺れていました。
あれが縦に揺れていたら、こっちに倒れてきてきっと死ぬんだろうなと
息を飲んで静かな恐怖に包まれていました。

電車は急停止し、
揺れが収まり、落ち着いたところでクライアントや職場に電話をかけて
このまま帰宅するよう指示を受けました。

2時間閉じ込められ、何もわからず不安な状況の中、
車内の人たちと協力しながらなんとか過ごしました。

自転車は売り切れていたので諦め、
ヒールだったので原宿のABCマートでスニーカーを買い、
大通り沿いをひたすら歩き続けました。


四谷くらいまではサラリーマンがぞろぞろ列をなしていて、
同じ職場なのか談笑しながら歩く集団に混ざっていると
遠足か100キロハイクみたいだなと
場違いなことを考えていました。


迷った時だけGoogleMapsを起動し、電池切れの不安と戦いながら、
とにかく通勤の沿線にたどりつきました。

御茶ノ水あたりで足が痛くなってプロントで夕飯を食べて、
テレビを観て事態を把握して言葉を失いながら、
ひたすら歩き続けました。

沿道の電信柱には大量に印刷されたGoogleMapsがくくりつけられ
「ご自由にお取りください」。
コンビニや民家には「トイレ貸します」の張り紙。
電車の中では携帯を貸しあったり、席を譲りあったり
長すぎる帰り道に絶望しそうになりながら、
東京も捨てたもんじゃないと
何度も何度も勇気付けられました。


一人暮らしの家にたどり着いたのは夜22時。
ペットのハムスターが無事に生きていて
心底ホッとしたのを覚えています。
壊滅的な光景を流し続けるTVが一瞬現実から遠のき、
わたしの狭い部屋だけがリアルな世界で、
ポツンと灯りがともっているようでした。
実家や友人にも連絡をし、布団を頭からかぶって
こんこんと眠りました。


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時は流れて3年前の今日、流産後初の採卵をしました。
たった1つ残った成熟卵を移植し、
それがすくすくと育って娘になりました。

9年前の今日、
わたしが結婚して母になっているなんて全く思いもよらなかったし
あれから職場も2つ変わった。
不思議な気持ちで採卵を迎えたことを覚えています。


またいつか、大きな地震が来るかもしれない。
それは平日かもしれない。
夫は職業柄真っ先に災害対応に追われるので
おそらく簡単には帰ってこれない。
わたしは、何としてでもあの街に戻り、
保育園に子どもを迎えに行き、
子どもと2人で夫の帰りを待たねばならない。

そのためにできることを考える日々です。
被災地の皆様の復興を遠くから願っています。