BL小説 | 明日から本気出す!

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ダラダラしようよ

ノートの方で、順次上げて行こうと思っている小説です。バリっバリのゴリゴリのBLです👍

 この話は、そういうシーンはかるぅく一回くらいだったかなw あとは匂わせw

これ上げたら他のBLも上げてゆきます。

 でも、最初の回だけ読み放題にさせていただいて、続きは申し訳ないのですがnoteにて有料コンテンツにしてみようと思っています。

 

きっと自分でも有料では読まない気がするんですが…烏滸がましいのは承知の上で一度やってみようと思いました。取り敢えず↓第一話っぽいやつwお楽しみください♪

BL展開はこの回にはないです(くどい?w)

Twitterにはnoteを上げさせていただいているのですが、こっちも上げときます。

 

颯爽

 ガード脇の屋台で、越谷龍一はハンチングを被った山ちゃんこと山崎に縋られて手にしたコップを揺らしていた。

「だからさあ、俺は学生なんだよ。堅気なの!だから山ちゃんに最後まで責任持ってやってもらわないと困るんだって」

 縋ってくる手を離そうと身を捩るが、山ちゃんは必死に食い下がってくる。

「そんなこと言ったって、この話に乗ったのは龍ちゃんじゃないか。一蓮托生で一緒に行ってよ。なんかあっちは怖い人出てきちゃってやばいんだよぉ」

 目の前のちろりから龍一のコップに酒を注いで、山ちゃんは再び握る指に力を込めた。

 この越谷と山ちゃんは、とある日の競馬のとあるレースにノミ屋を使って参戦した。

 龍一にしてみたら、この日のこのレースは大穴も大穴で、多分競馬場でできる予想屋が力説したって誰も信じない馬が勝つことはわかっていた。なのでどうしてもこのレースはいただきたかったが、龍一はこの日、学校側から退学をかけた試験を設定されていたのだ。流石に退学は迷惑をかけ通しの親にも顔が立たないので、仕方なくノミ行為に手を出したと言う事だ。 

 元金5万つっこまして、大当たりの万馬券も万馬券300万を当てていたのだが、さて、その配当金がいつになっても還ってはこない。

 山ちゃんも龍一に倣って同じ馬券を買っていたので総額600万。

 ノミ屋も災難である。大したレースではないので客も少ない上に300万円を当てた者が2人も出たら、赤字である。還したくない気持ちもわかるが、それはそれだ。

 しかし、そう言う場には「そう言う」人物がいるのは普通で、山ちゃんも頑張って取り立てに行ったのだが、逆に脅されて帰ってきてしまったと言う事だった。

「怖い人?なら尚更だよ。俺の出る幕じゃないだろ」

 流石に腕を振り解いて、今度は自分でちろりから注ぎ屋台の親父さんにもういっぱいとちろりを上げて注文をする。

「じゃあ龍ちゃんは金いらねえんだな!」

「ふざけるなよ、最低でも元金くらいは返してもらうぞ。俺は被害者なんだからな」 

 クリスマスも近い真冬。こんな季節には屋台のおでんも酒も格別なはずなのに、酒も苦ければおでんの味なんて判ったものではない。

「冷てえなぁ…あっ」

 手酌をして寂しそうに呟きかけて、山ちゃんは思い出したように声を上げた。

「龍ちゃんさ、」

 声をひそめて龍一の肩を引き寄せる山ちゃんに、気色悪そうに眉をひそめながらそれでも耳を貸してやる。

「龍ちゃんそっち方面の友達いるって言ってたじゃんか。その人に頼めないかな」

 龍一の頭に、前髪だけ立てた癖毛のショートヘアが浮かんだ。

 高校の同級生で、途中で本物さんの門を叩いてしまったが、割と頻繁に飲んだり遊んだりしている仲間である。

「えーー?あんまそんな揉め事はさぁぁ」

 とは言ってみるが、龍一とて元金くらいは取り戻したい。

「しょうがねえなあ…」

 そういってバレンシアガの内ポケットからスマホを取り出し、立ち上がった。

「一つ言っとくけどな、その筋に頼み事するってのはよっぽどだからな。どんなんなっても文句言うなよ。あと勘定しといて」

 そう言い残して、スマホをいじりながらガード下の方へ歩いてゆく龍一を見つめ、山ちゃんは少しだけ不安になっていた。

 見送った顔を元に戻すと、屋台の親父が

「2000円に負けとくよ」

 と笑って右手を出した。​ 

 

 

「佐伯さん、今夜の集金です」

 この組で一番若い児島が、事務所の奥のソファに寝転んでいる佐伯神楽の脇のテーブルへ数十万のお札を置いた。

「お、お疲れって随分多いな今日は、どした?」

 シマ内の数軒の店にランダムに行って、今ではみかじめ料というものは法律で禁じられているため、お世話代として集金をしてくるのが若い者の仕事だ。名前が変わっただけとも言うが…。

「今日は3件ほどの予定だったんすけど、「Bee」と「マドンナ」のママさんが『佐伯ちゃんによろしくぅ』っていつもの倍くれたんす」

 この2件はオネエ様のお店だ。

 途中、オネエ様ふうの声を真似して説明した児嶋の真似がツボったのか、テーブルの反対側にいた佐伯の相棒姫木が小さく声を出して笑い、佐伯も起き上がりながら

「上手いな児島、店手伝えるんじゃね?」

 と笑い、札束を手にした。そしてー戸叶呼んできてーと児嶋に言いつけ枚数を数え始めた。

「お呼びですか?」

 呼ばれた戸叶が佐伯の脇に立つと、まあ座れと隣に座らせ

「今日の集金50万だった。明日牧島さんの所にこれ合わせていくら持って行ける?」

 と尋ねる。

「50万…2本くらいは行けるんじゃないかと」

 1本は100万円。

「それなら大丈夫だな、なんとか面目立ちそうだ。じゃあ準備しといてくれ」

「わかりました」

 戸叶は、佐伯から50万円を受け取り隣の部屋へ消えていった。

「新法以来、上納金も大変になったよなぁ」

 再び寝転んで、誰にともなく佐伯はつぶやく。

『高遠』は、組員のしのぎには寛大ではあるが、その寛大さに組員が付け込まないのが統率力の堅い証拠でもあった。

 佐伯たちは、一種特別な組なので上納金の設定はないのだが、自分たちでその月に稼いだ半分を直の上の組「牧島組」に上納すると決めていた。 

 直の上の組。それは本家高遠組の最高幹部である牧島が構成している組で、高遠の中では、本家に次ぐ大きさを誇る。

 佐伯たちは訳あって牧島に世話になり、一つの組を組織していると言うよりは高遠組の一声で、どこにでも特攻をかける特攻組織として存在しており、組の内外の問題に片をつける組織であった。

 それが一種特別な組と言うわけだ。

「しかし、有難いよなママさんたちな。今時稼げない中貴重だよ」

 それにはテーブル向こうの姫木も目をあげて、返事はしないがーそうだなーと言った顔で、再び雑誌に目を落とす。

「なんかこう…儲かる仕事ねえかな…」

 と、佐伯がつぶやいた時だった。佐伯の携帯が鳴り、テーブルの上からめんどくさそうに持ち上げた佐伯は、

「お?儲け話か?」

 と嬉しそうに受話ボタンを押した。

「よー龍一、久しぶりだな」

 龍一という名前に、姫木も顔を上げる。

 学生時代につるんで悪さをした仲間だ。姫木も顔馴染みだ。

「ん?へ〜、どこの誰?わかんねえ?それじゃどうにも…うん」

 佐伯の声だけ聞いてるので、要領を得ない。

「おう、わかった。じゃあ明日駅前のドトールに2時な。じゃ」

 スマホをテーブルに置き直して、姫木に声をかける。

「明日龍一とちょっと会ってくるからさ、牧島さんとこ頼めるか」

 タバコに火をつける佐伯に

「越谷さんなんだって?」

 牧島の所に1人で行くのが嫌な訳ではないが、牧島への礼は2人で尽くすものと暗黙だったので、それ以上のことなのかということだ。

「儲け話だ。うまく行けば300は固いな。牧島さんにはその旨伝えて、礼を欠いた詫びをしといてくれ」

 ここの所身入りも少ないという話をしていた矢先のことなので、姫木も何も言えない。

「わかった」

 と返事をして立ちあがる。

「帰ろう」

 唐突な姫木に反応したのは、姫木付きの佐藤だ。

「送ります。佐伯さんはどうしますか?」

 佐伯と姫木は同じ部屋に住んでいた。

「一緒に帰るわ。お前たちももういいから帰んな」

 佐伯は唐突に帰宅を言い出した姫木に思うところがあり、そう言って佐藤の持っていたキーを貰い、おやすみ〜と2人で部屋を出て行った。</p>