木曜日

 晴 寒暖計四十六度(注・=摂氏7.8度)

 

 酒井静雄氏北海道の友人より依頼に依り仏画を鑑定せられたしとて持参せしが、田舎廻りの粗悪品にて見るに足らず、因て明に其事由を同氏に説明せり。

 

 午前十時、徳川侯爵家評議員会に出席す。当日は同家道具売却金九十三万余円入金に就き、取敢へず川崎銀行に年利六分五厘の割合を以て定期預金と為すべきに決し、又此金額の利氏及び従来徳川家の経済上一年約一万円を剰し得たる者と相合して、一年約七万円は有利の証券に投資するが得策ならんとて時期を見計ひ之を決行する筈なり。又今度の売上金中より一万円を家職其他永年同侯爵家に勤務の男女に分与する事に決せり。

 

 小春の旅四篇を時事新報に送る。

 

 杵屋六四郎来宅、賎機帯を稽古し吉住小三郎方にて稽古したる枕慈童を唄ひ試む。

 

 

 

 

 

 

 

 

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