パンクロッカーたるもの、スターウォーズもハリーポッターも見たことない。


この前ふと夜に時間が空き、ワイフと「映画でも見ようか」という話になり、『ニューシネマパラダイス』を見た。
名作だとは知りながら、なぜか今まで見て来なかった一本だ。

結論から言うと、何から何まで美しく、しばらく余韻が抜けないほど感動した。
自分の中の水野晴郎が溢れ出し、心の中で何度も「映画って本当に素晴らしいものですね〜」と叫んでいた。
今さら言うまでもない程の傑作、、、
と言うよりも、今さらこんな事を言っている事自体が恥ずかしいくらいの映画だった。

「何でもっと早く見なかったんだ!」と思いながらも、もしかしたらこのタイミングで見たからこそ感動したのかもしれない。
映画や音楽や人。
バッチリのタイミングで、呼び寄せられたかのように出会う時がある。
『ニューシネマパラダイス』は自分にとってそんな映画だったような気がする。


二十歳の時に東京に出てきた時、音楽をやっている先輩に言われた事がある。
「音楽だけじゃなくて、映画とか小説とか、色んなものを吸収した方がいいよ」と。

その教えを守り、大学生の時は週に5本はDVDをレンタルし、映画を見まくっていた。
ハリウッドよりも、ミニシアター。洋画よりも邦画。ラブストーリー、アクション、ホラー、コメディーよりもヒューマンドラマ、ドキュメンタリー。
という具合にかなり偏った「なんちゃって映画好きの典型」のような見方をしていたせいで、見逃しいている作品がたくさんある。
スターウォーズもE.Tもパイレーツオブカリビアンもハリーポッターも見た事ない。
あんなに本数観ていたくせに「え、これ見た事ないの?」というのだらけだ。
今思い返せば「あれ、オレAV5本借りてたんだっけ?」っていうくらい、記憶にもあまり残っていないものもある。笑

そんな三流映画好きの自分にとっての好きな映画の条件は、心に残るワンシーンがあるかどうか。
極論言えば、2時間のうち1時間59分退屈でも、1分間のワンシーンが心の内べりに焼き付いて離れないものであれば、それは好きな映画としてカウントしている。
俳優の表情や仕草、台詞。美しいアングル、景色、音楽。
ストーリーの大筋が面白いかどうかももちろん大事だけれど、ふと思い出して見返したくなるような映画が、今も手元に残っているように思う。

だから、好きなワンシーンを見たいが為に初めからDVDで見直す事はよくある。
仁義なき戦いに関して言えば、完結編の菅原文太と小林旭の最後のやりとりを見る為に、1本目から見直した事もあるくらいだ。

自分はやっぱり、スクリーンの中の「人」にどれだけ惚れて、入り込めるかが大事なのかもしれない。
例えばスモークのハーヴェイカイテル。大統領の執事の涙のフォレストウィテカー。ゴットファーザーのアルパチーノ。男はつらいよの渥美清。そして、ニューシネマパラダイスのフィリップノワレ。

だからマッドマックスとバーフバリにはハマらなかったのかも。笑

何はともあれ、もしまだ自分と同じように『ニューシネマパラダイス』を見ていない人がいれば、オススメです。
けど映画の趣味は本当に人それぞれなので、ハマらなかった際の苦情は一切受け付けません。
ハズレを引くのも、無駄だと感じる二時間を過ごすのも、映画の醍醐味。

まだまだ知らない名作がたくさんある事を実感し、また映画熱が再燃しそうである。