パンクロッカーたるもの、リハーサルは5分あればいい。
ライヴ前のリハーサル。
普通の人の場合は音を作ったり、ライヴでやる曲を確認したりして、だいたい15分〜20分はかかる。
しかし自分の場合は5分もあれば終わる。
初めてやる場所の場合、「え!もう終わり?」と驚かれるパターンが多い。
なぜそんなに早く終わるのか?
まず自分の場合、音作りというものに時間がかからない。
ギターをアンプに繋ぎ、ほとんどの目盛りをマックスまでひねる。
後はヴォリューム調整だけすれば、音作りは終了である。
もはや「音作り」とは到底呼べない、決まりきった単純作業である。
アンプがマーシャルでもJCでも、よくわからないメーカーのものでも、とりあえずこの設定にするようにしている。
その理由は、あれこれつまみをいじるのが面倒くさいのと、昔先輩のミュージシャンが「アンプはフルテン(目盛りがマックスの状態)が一番いい音がするように出来ている」と言っていたからである。
あと他のバンドの人も同じアンプを使った場合、いちいち目盛りの位置を覚えておかなくてもいいのも楽だ。
パンクロッカーたるもの、ギターはアンプに直でフルテンである。
荷物が増えるだけのエフェクターや、ややこしい目盛り調節はなしである。
出来るだけシンプルな方がカッコいい。
ちなみにここまでの経過時間は2分くらいである。
アンプの設定が終わったら、椅子に腰掛け、椅子の座り心地を確かめる。
実はアンプの設定なんかよりも、こっちの方が重要である。
たまに足の高い椅子を用意されて、地面に足がついてなかったりすると、体勢がしっくりこなくて全然集中できなかったりする。
なので事前にセッテイング用紙を提出する時も、アンプの指定はしないくせに、椅子に関しては「低い椅子を用意して下さい」ときっちり記入する。
パンクロッカーたるもの、地に足着いてないとダメなのである。
しっかりと椅子の確認、マイク位置の調整をして1分。
するとだいたいPAさんから「では曲で確認して下さい」と声が掛かる。
それを合図に自分はギターをかき鳴らしながら「あーあーあーあーあー」とひたすら叫ぶ。
ヴォーカルにリバーブがかかっている場合は「切って下さい」とお願いし、モニターから声が聞こえ辛かったら「もうちょっと声を返して下さい」とお願いする。
そしてまた「あーあーあー」と叫ぶ。
モニターからちゃんと自分の声が聞こえれるのが確認出来れば、リハーサル終了である。
ここまででだいたい5分。
これが自分のリハーサルスタイルである。
おわかりの通り、リハーサルが5分で終わる最大の理由は、リハーサルで曲をやらないからである。
これは10年近く貫き通している流儀なのだが、おそらくこの先もずっと変わらないと思う。
なぜ曲をやらないのか?
それは同じ曲を一日に二回歌いたくないからである。
特に自分みたいなパンクロックの場合、演奏をする時に求められるのは完成度よりも瞬間的な爆発力である。
そのためには「さっきこの曲やったなー」と思うよりも、その日のテンションで初めて触れる方がずっといい。
ビョークが「リハーサルは嫌い。だってセックスの前にリハーサルはしないでしょ?」という名言を残しているが、自分もやっぱりどう転ぶかわからないドキドキ感が欲しいのだ。
「5分でリハを終わらせる」と言うと、「しっかりと準備をしないなんてプロフェッショナルじゃない!」と思う人もいるかもしれない。
しかし、こちとらミュージシャンとしては三流だが、パンクロッカーとしては一流である。
どんなトラブルがあっても、だいたい何とか出来る自信があるからこの方法を採っているまでだ。
みんなと同じ様にやる必要はないのである。
自分のやり方がしっかりある時点で、もう準備は万端なのだ。