パンクロッカーたるもの、高円寺にどっぷり浸かっている。


バンドマン=高円寺という図式があまりにもベタで少し照れくさいが、実際に住んでしまっているのだからしょうがない。
20代で島根から出てきて10年近く、ずっと高円寺北3丁目あたりを転々としながら暮らしている。
だから東京にいると言っても高円寺しか知らないし、たまに浅草とか銀座とか行くと「おぉ!すげぇ!東京だー!」って思うほどだ。

つまり高円寺は、東京にありながら東京にいるという感覚を完璧に忘れさせてくれる、「特殊な地区」なのかもしれない。
かつて、みうらじゅん先輩は「高円寺は日本のインドだ」と言ったが、自分は「高円寺は竜宮城」なのではないかと思っている。

変な格好していても、平日からフラフラしていても、酔っ払って道で寝てても、そんなに浮かない。別に普通。
とにかく街全体の「変わり者・はみだしもの」を許容するキャパシティーがむちゃくちゃ広い。
そんな環境をフルに活用しながら、高円寺の人達は毎夜トコトンまで楽しんでいるのであるが、、、時間は確実に流れている。
「楽しいなー、楽しいなー」と言いながら、いつ間にか「もうこんな歳?!」みたいになっている人をたくさん見てきた。他でもない、自分もそうである。

高円寺は居心地が良すぎる故に抜けられないし、目先の楽しさに心奪われて、当初の目標を失ってしまう落とし穴もある。
結局のところ、高円寺という竜宮城を「天国」にするのも「地獄」にするのも自分次第という事だ。


この前テレビのバライティーを見てたら、X JAPANのYOSHIKIとGACKTがクイズを答える時に「これがわからないなら高円寺の売れないバンドマンと一緒だよ〜」みたいなナレーションが流れていたが、やっぱりそのイメージは強いんだなと思った。
確かにくすぶっている人や、志半ばの人も多いけど、ちゃんと成功している人もいるのに。

前に「高円寺にいたら売れない」というクソみたいなジンクスを信じて高円寺を出て行った人もいたけど、そんな中途半端な奴はどこの街行ったって売れないはずだ。

「高円寺にいても売れる事を証明したい!」
なんて大それた事は思っていない。
ただ単純に、住み慣れた高円寺で暮らしながら音楽を作って、生活出来ればサイコーだなと思う。

いい飯屋がたくさんあって、スーパーがあって、レコ屋があって、レンタルビデオ屋があって、病院があって、知り合いがいて、、、

どう考えても高円寺を離れる理由がない。
もう肩までどっぷりである。

飲み屋ではハードコアの人達が打ち上げしていて
閉店した店の前では歌姫が中島みゆき歌っていて
高架下では少年たちがラップをしている。

ああ、やっぱり、いい街ではないか。