セルロイド | Photo LOG+ 音楽と写真と日々のつぶやき

セルロイド

そこは病院の待合室。
新築の建物が出す独特の匂いが鼻の奥を通り過ぎる。

退屈な時間を目の前を通り過ぎていく人の観察をして楽しんでいると、視界の外から私の名前を呼ぶ男が1人近づいて来た。
声のする方へ視線を向け、私はこう心の中で呟いた。

『ああ、懐かしい顔だ...』

そこには中学の頃に私がよく遊んでいた友人が少年から青年へ大きく成長して立っていた。
10年になるだろうか、彼に誘われて同じ高校へ行き卒業してから一度も会っていない。
そんな彼に対し私は懐かしむ事よりもこの後に何を口にすれば良いだろうかと考えてしまった。

「なにしてるの?」

一瞬の長い時間で私が絞り出した言葉はコレだ。

彼は笑顔でこう答えた
「子どもが産まれてさ、退院するんだよ」
「ああ、そうなんだ!良かったね、おめでとう」

お決まりのセリフを口にして自分の番が来ないかと診察室に目をやった。
すると彼は嬉しそうにベビーカーを押して私の元へ近寄って来た。

「見てよ可愛いでしょう?」
「抱いても良いよね?」

そんなやり取りをして、彼の子を抱き上げようとしたが顔が見えなかったので、毛布と小さな体の僅かな隙間に手を入れてゆっくり持ち上げた。



私はその抱き上げた子を見て驚いた。



まるでセルロイドの玩具が動いているようなそんな風貌で身長も30cm程しかなく、焦点の合わない黒い瞳はきょろきょろとカメレオンのように動いていたからだ。
私の口は開いたが言葉も出せずに彼の方に目をやった。

すると彼は察したらしく、こう答えた。
「未熟なまま産まれてきちゃってさ、今はこんな風だけど成長したら普通の子どもと同じようになるよ」

そんな事があるのか?と暫く無言になってしまったが、今目の前にあるのだから信じるしかない。
「ごめんね、寒いよね」と彼の子に話しかけてベビーカーに下ろそうとした私に、彼の子は笑った。
目は変わらず口を開けてニコリと笑った。

更に私は驚いた。

その口には歯がしっかりはえていたからだ。
未熟なまま産まれた子どもに何で歯がはえているんだ!?

驚く私。
間髪を入れずに診察室の奥から私の名を呼ぶ声が待合室に響き渡った。





真っ白な部屋の中で先生は私に「体内に生命を植える手術をします」とニコリと微笑んだ。





という夢をみました。




何コレ、疲れてるんですか?私?