さて、部活も引退し、あとは受験を乗り切るのみだ。


僕の志望した欅(けやき)高校には、井又、ダイコク、ケイゾーも志望した。


かなりの難関なので、全員が受かるとは限らない。

みんな必死で勉強した。

僕は、主要五教科は内申点がオール10だったが、美術や家庭科などのいわゆる実技四教科があまり内申点が良くなく、当日の筆記試験の出来次第かなと思っていたので、少し不安だった。





そして、運命の合格発表。

僕の番号は、113。

紙が張り出される。

113は…



あった!

合格や!



さらに、一緒に合格発表を見たケイゾーも受かった!

ケイゾーは嬉しすぎて号泣している。


「いやいや、お前なに泣いとんねん!」


「だって、自信なかったもん…俺、ほんまに受かってるよな?」

「間違いない!合格や!!!(笑)」


そして、なんと井又、ダイコクも受かっていた。

野球部から受験した四人全員が受かった。

また、こいつらと野球ができる!

本当に嬉しかった。

甲子園目指して、高校でも頑張ろうぜ!

みんなで誓い合った。




そして、他の同期達も進路は決まった。

高校でも野球を続けるのは、中島、八坂、テル、ベン、ジョン。

中島は、強豪私立の浪速高校へ。

八坂は西境高校へ。

テルは奥泉高校へ。

ベンは籾岡高校へ。


ジョンは野山学院へ。


高校では、みな甲子園を目指すライバルとなる。

絶対負けへんぞ!

因みに、才能はNo.1のヨッシーは、進学はせずフリーターになってしまった…


野球の実力は間違いなく甲子園を狙えるくらいのレベルであっただけに、本当に惜しい才能だった。






様々な思い出を胸に、僕達はいよいよ卒業の日を迎えた。

みんなで一生懸命練習した「旅立ちの日に」の混声四部合唱では、三年間の思い出が脳裏をよぎり、涙が出そうになった。

僕は中学校の三年間で、成長できたのだろうか?

体は間違いなく大きくなった。

入学時140センチ台しかなかった身長は170センチくらいになった。

甲高かった声も、低い大人の声になった。

勉強も頑張った。

野球も頑張った。

でも何より、大切な仲間がたくさん出来たことが一番だ。

辛い時も、苦しい時も、いつも心の支えになるのは、仲間なのだ。

高校へ行っても、みんなは繋がってる!

また、いつか会おうぜ!

元気でな!

また逢う日まで。





卒業式後、ふと広場を見ると、お調子者の前田(現お笑い芸人)が、パンツ一丁ではしゃいでいた。

日本は平和な国である…。





4月から、僕達は高校生。













次回へ続く。