「教育基本法改定案」を考えるシンポジウムに参加。雨と区民体育会が各地で開催されるというきびいしい条件の中、130名が参加しました。
冒頭、呼びかけ人のお一人山下綾子弁護士より挨拶が。
「日の丸・君が代の強制を違憲違法とした判決を『画期的』といわなければならないほど世の中が右傾化している」「教育基本法改定を言明している伊吹・文部科学大臣のお膝元の京都から『教育基本法改悪反対』の声を上げるとき」と。
本当に、今回の安倍内閣の顔ぶれは本当に怖いですね。
コーディネーターの築山崇さん(京都教育センター)は、「教育基本法改定の必要性を政府はしめせなかった・・・というのが専門家の間で見方」「教育の根本を変えると政府はいっているが、教育基本法の方向にそった改革こそ必要」と訴えられました。
続けて発言をされた福山弁護士は、旭川学力テスト事件の判例をきひながら、「普通の法律であれば矛盾した法律ができた場合に新しいものが優先されるが、基本法の場合は教育基本法と新しい法律が矛盾すれば教育基本法にあわせる形で解釈をしなければいけない准憲法的位置づけがある」とわかりやすく説明をしてくださいました。また、安倍氏はじめとした教育基本法改定論者が「占領下にできた基本法だから押し付けだ」と主張していることについて、当時の文部大臣が提起して純国産でつくられた教育基本法策定当時の話を紹介し反論。改定案が、国家主義、新自由主義の二つの角度でつくられていることを条文の対照表をしめしながら解明。厳しく批判しました。
小学校・中学校に二人のお子さんをかかえる保育士の羽田さんは「道徳教育の強化をことさら強調し、特定の価値観をおしつける動きに不安をおぼえる」「戦争を美化する風潮、愛国心のおしつけは軍事大国のための従順な人づくりにつながるのではないかと不安」と不安を語られていました。
中学校教諭の松本さんからは、「今も昔も急がしさは同じだが、今の忙しさはすべて命じられてやらされている仕事ばかりでむなしい忙しさ」「以前は公平に配分されていた教育予算が減らされ、教育委員会の指定する研究をしなければ予算が配分されない。それで予算獲得のためにいやいや研究をやらされる」「すべての学年を二つにわけ、二つのグループを校長が競争させるという学校まで生まれ、本来各学年・学校全体で知恵を出し合い協力して乗り越えるべきことが協力できなくされている」「トップダウンですべてがきまり、会議はただの打ち合わせで出されたものに反対どころか修正もできない」「お金がないと高校にいけない状況がひろがっている」「予算削減の結果、業者のトイレ掃除を減らし、子供に便強といって押しつける動きはおかしい」「ジュニア日本文化京都検定のテキストは企業広告まである。いまや子供たちは何がしたいと聞けば『疲れた。ゆっくり寝たい』『邪魔されずにメールがしたい』『友達と遊びたい』とかえってくる。競争ばかりでへとへとになっている」など驚くべき教育現場の実態が語られました。
また、松本さんは、40人クラスの分割授業により、19名のクラスで教えた経験から、「40人だったときは一時間教えるので生も根もつきたが、19名のときは手に取るように子供たちの思っていることがわかる。少人数学級になれば確実に子供たちはかわる」とこれからもとめられる本当の教育改革の方向を示唆するような経験も発言されました。
その後も様々な方の発言が相次ぎましたが、やはり教育基本法は改定すべきではない!政治の果たすべき役割は教育条件を徹底して改善していくことだと改めて思いました。