2024年本屋大賞 第二位  

津村記久子さんの本はたぶん初めて。 

このお話は、ヤングケアラーの話なのかも、と思いつつ読み始めたのでした。

 

というのも、この本の前に読んでいたのが安田夏菜「むこう岸」

この小説は、超難関中高一貫校に入学したにも拘らず、ついていけなくなり、 

退学した中学生の男の子和真が主人公です。彼は、編入した公立中学で、ふと知り合った貧困家庭の女子瑞稀に、自分の醜態を見つけられ、それを脅しのネタのようにされ、同じ貧困の男の子アベルの勉強を指導するように頼まれます、いや、恐喝みたいなものか?困っていた主人公和真は、アベルへの勉強指導を通し、失われていた自分の居場所、存在意義に気づきます。 

 

裕福な医師の息子として育った和真はそれまで親の価値観を押し付けられた形で育ち、一方、生活保護家庭の瑞稀はヤングケアラーとして生活する中で、自分なり生き方を考えて行きたいのに、貧困そして、生活保護という制度に将来が閉ざされるていることに悩む姿が好コントラストです。高校進学も断念しそうになっていた瑞稀が受けている生活保護制度について自らこそが、解決すべき問題であるかのように、必死に調べ、助力しようとする和真の姿が眩しい。 

瑞稀は和真の助言、その他の力を得て、閉ざされていた道をひらいていく。 

その姿は応援せずにはいられない。 

和真がこの活動を通して得たものについては、著者は言及していない。しかし、読者は和真も掴んだ何らかの光を感じることができたのではないかと思う。 

 

これは灘中の入試問題に取り上げられたらしく、私も2020年頃に一度読んでいたはずなのに、図書館でまた借りていました。途中読み始めて、ああ、2度目だったと。それでも読み返さずにはいられませんでした。 

 

実際の入学試験の問題はまだ見ていません。今度、次女と一緒に解いてみようと思います。 

 

 

「水車小屋のネネ」を書くはずだったのに。。。