ご無沙汰しております。
この度芸人を辞めることとなりました。
最後の挨拶は短く端的にまとめた方が絶対カッコいいと思うのですが
今このブログを読んで下さっているあなたを勝手ながら少しでも僕に興味を持ってくれたトガシストだと判断して長々とここに想いを恥ずかしげもなく記していきたいと思います。
僕は調理師の専門学校を経て、20歳から23歳まで結婚式場でフレンチや企業が開く宴会の料理を作る調理師をしていました。
当時は特に夢もなく
なんとなくずっとこの会社にいて、給料をもらいこの先も生きていくんだろうなぁ
とボーッと過ごしている社会人でした。
23歳の時にリーマンショックの影響で企業の宴会が減り、仕事が暇になって生き方を考える時間が出来ました。
その時に
本当に好きなことをやらないと死ぬ時に後悔する
そう思って
「好きなこと」
を考えた結果にあったのがお笑い芸人です。
そして当時の僕の夢は
『芸能界に名を馳せて葬式をテレビ中継されること』
でした。
お笑い界を自分が変革しなければいけないという勝手な使命感を持ち、日本で一番自分が面白いという尖に尖った状態で養成所に入りました。
そうです。今書いてて手が震えるぐらい恥ずかしいです。
それからというもの
芸歴を12年積ませてもらいましたがお笑いはとても難しかったです。
自分ならお笑いに関してはなんでもできると思って物凄い自信で挑みましたが実際出来なかったことのほうがとても多かったのは認めざるを得ません。
ネタに関しては
ロジック、システム、キャラクター、起承転結、向き不向き、相方とのバランス、自己分析、お客さんウケ
まだまだあげたらキリがないくらい考えることが多かったです。
でも難しい難しいと考えてたら一周回って
「実はお笑いってすごい簡単なことなんじゃないか?」
と思う時もあって結局難しかったです。
去年のキングオブコント2回戦で負けた後に相方に
「来年のキングオブコント決勝いけなかったらやめようか」
と話しました。相方は少し驚いた様子でした。
「一年後に辞めるかもしれない」
なんて仲の良い芸人さん達に言ったら気を遣わせてしまうと思い
このことはコンビで黙っておく事にしました。
一年と決めてやったら頑張れるのかなと思ったのですがそんな事もなかったです。
余計にしんどくなってしまいました。
自分には向いてないやり方だったのかもしれません。
また来年頑張ります!
と毎年言ってきたキングオブコントも今年が最後だと思うと
『やっぱり一発かましてやりたい』
と再度燃えてきて腹括って臨めました。
8年ぶりくらいに2回戦突破した時は本気で賞金の使い道と決勝での浜田さんとの絡みを考えました。
結果は準々決勝敗退でしたが最後にずっとやりたかったネタを出来たのでなんの悔いもありません。
相方も辞めるそうです。
相方の上野は18歳の専門学校の頃から一緒でしたがめちゃくちゃ簡単に一言で言うと
『ヤバい奴』でした。
ただ僕はこの『ヤバさ』がテレビに出たらとんでもなくハマるんじゃないかと信じていました。
上野をお茶の間の皆さん見てもらうためには第一エンジンである自分がいいネタを書いてブーストしなければいけなかったのですがそこまでいけませんでした。
無念ですし残念です。
ですがもしも売れて生放送とか出たら上野は言っちゃいけないこととかすぐ言っちゃうタイプなので売れなくて少しホッとしているとこもあります。
なんにせようまくいかないことが多かったです。
うまくいかないことも多い中で楽屋で芸人とミニコントしたり
舞台でお客さんにウケたりすると
なにもかも忘れるくらい楽しかったです。
生きている心地がしました。
不思議なもので今は楽しかったことしか浮かんできません。
ファンは本当に少なくてイジられることも多かったですが少なかったおかげで応援して頂いた方や、ライブに直接足を運んでくださった方々の事を全て覚えているので今となっては少なくてよかったと思っています。
現在35歳の男性ですが自信を持って
自分にはこれができる
というものは特にありません。
強いていうならば人より気持ち悪い表情とか動きは出来るかな?といったかなり危険な35歳の男性です。
今は何もできない人間で不安ですが、逆になんでも出来るんだと思うととてもワクワクもしてきます。
売れてない芸人を12年もやれたことが自信になっているのかもしれません。不思議なものです。
今後は訳あって蕎麦職人の修行をすることになります。
理由を説明するとこの倍のボリュームになりそうなので割愛させて頂きます。
会ったら聞いてあげてください。
これから「自分は美味しい蕎麦は打てる」と胸を張って言える人間になりたいです。
体も頭もまだまだ元気です。
頑張ります。
自分のやりたい事は存分にやらせてもらいました。
残りの人生は周囲の方々や地域、社会などの方々の助けに少しでもなれる人間になるべく粛々と驕らずにやるべき事をやっていきたいと思います。
それが今後の僕の夢であり生きがいになりました。
辞める決断ができたのもあの当時お笑いの道に踏み出し納得いくまで出来たからです。
芸人にならなければ見れなかった景色、会えなかった人にたくさん巡りあえました。
感謝しかありません。
ずいぶん先になるとは思いますがお店をオープンできる時が来たら是非足を運んでください。
「トガシストです」
と言ってくれたらざるそばの海苔多めにつけます。
長々書くと振って本当に長々と書いてしまいました。芸人としてやってはいけない事です。
失礼しました。
あとなにかあったかな。
いや、大体書きたい事は書けました。
最後になりますが
12年という長い間自分達に携わって支えてくれた先輩後輩同期の芸人の方々。
スタッフさん。
ずっと所属させてくださった事務所の方々。
心配をかけた両親、親族。
このブログを読んでくださったトガシスト。
そしてなによりさまざまな場所で見てくださり笑ってくださったお客様。
本当にありがとうございました!!!
あ!
ありがとがし!!!