3年Z組 銀八先生 ~未完成の地図 1~  | 夢幻月夜 

3年Z組 銀八先生 ~未完成の地図 1~ 

「あれ?」


教室に忘れ物を取りに戻ってくると、俺の机に誰か居る。


誰か、というか 銀髪、天然パーマ、ヨレヨレの白衣。


銀八しかいねえよな。


近づいていくと、よだれを垂らして寝ていることがわかった。


あぁ、俺の机が。


と思いながらも、前の席に座って銀八の寝顔を見つめる。


スー という小さな寝息や、


微笑んでいるような口元


そしてそこから垂れているよだれ。


全てが、めちゃくちゃカワイイ。


それに、なんか、いつもより幼く見える。


全てが、ストライクだ。


そんなことを思いながらフワフワであろう銀髪に手を伸ばす。


が、寸前の所で銀八がいきなり目を覚ました。


「よ、よお、起きたか?」


伸ばしていた手を慌てて引っ込める。


銀八は、大きなあくびを一つすると、


「高杉? ってここ何処。」


銀八は周りをきょろきょろ見回した。


何度か見回したあと、俺の方を向くと、


「教室?」


と少し首を傾げた。


くっそぉ、可愛すぎる。


少し顔が赤くなるのを感じながら、小さく頷く。


「で、高杉君は何しに来たのかなぁ?」


頭をぼりぼりとかきながら銀八が聞く。


「忘れ物取りに来た。」


「ふうん、何忘れたの?」


「マフラー。」


すると銀八は、驚いたような顔でこっちを見た。


「おまえ、マフラー一つのために戻ってきたのか?

 ご苦労なこったねぇ」


「悪いかよ。」


バカにされたようで少しスネた。


「いや、別に悪かねえけど、何処まで帰ってたんだ?」


家まで、だけどそれを言ったらまたバカにされるかも、と思い


「関係ねえだろ」


と横を向く。窓に映った自分の顔が、少しむくれているのがわかった。


「あれ?怒ってる?」


銀八が俺の顔をのぞき込もうとしていたが、俺は顔をそむけた。


なあ高杉ぃ~ ごめんってぇ、なんに怒ってっかわかんねえけど。


最後の言葉が邪魔だ と思ったが これ、謝ってくれてんだよな?


仕方ねえ、許してやらあ。


銀八の方に向き直ると、なぜか唇とと鼻の間に割り箸をはさんでいた。


ワンパークでゾフィが前にやってたよな。


ロフィンをエニェエシェロビーだかどっかから救い出したときのお祝いってか宴で。


あんな感じでやってんだよ目の前のヤツが。


「何、してんだ・・・?」


あまりの不気味さに少し引きながら聞く。


はっきり言って、おかしい。


「なりって これうけで?」


なにって これうけね?って言おうとしているんだろうか。


割り箸のせいで、聞き取りずらい。


まあ、笑えるけど


「なんでいまそれすんの?」


「らっへ・・・」


「あ、ごめん。割り箸のけて話して。」


渋々ながら割り箸をはずし、


割り箸を大切そうに白衣のポケットに入れている銀八を見て、


あれ?これ、結構気に入ってたのか?


ガキ?なんてそんなことを考えていると、


「だって」


銀八がゆっくり口を開いた。


「怒ってたから」


「笑ってくれるかなぁっておもって。」


「怒られるより、笑ってくれて方がマシだろ。」


そういって微笑むと、俺の頭をくしゃくしゃってなでた。


こんな恥ずかしいこと、よく言えるね。


そう思いながら、恥ずかしくて下を向いた。