注意ネタバレありです注意

 

「蕭々館」で夜ごとくりひろげられる、最後の「高等遊民」たちの幸福なひととき。

芥川龍之介、菊池寛、小島政二郎―「大正」という時代に、青春を共にした三人の作家を描きながら、立ち去ろうとする一つの時代への思いを綴る傑作長篇。

-Google Booksより-


久世光彦著、泉鏡花文学賞受賞作。 

ずいぶん前に読んだけど、すっかり忘れていたので再読。

主人公は5歳の「麗子」なのですが、口調は大人の女そのもので、すごい色気を放っています。

これを気持ち悪いだとか、違和感がありすぎるというレビューも見かけましたが、私はまったく気になりませんでした。

麗子は「九鬼さん」こと芥川龍之介に恋をしています。

その心境の描写がリアルですごく共感でき、読んでいるこっちまでドキドキしてしまいました。

作者の久世さんは男性なのに、なんでこんなに女性の気持ちがわかるのか不思議。

作中には芥川の作品の引用を含め、「岩窟ホテル」と「二笑亭」に関する記述もあり、そちらにもすごく興味が湧きました。


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岩窟ホテル:

セルフビルド・アウトサイダーアート建築。高橋峰吉という人が、46歳から21年間(鬼籍に入るまで)ノミとつるはしを使い独力で岩窟を掘り続けて作った住居。「岩窟掘ってる」が訛って「岩窟ホテル」と呼ばれるようになった。


二笑亭:

渡辺金蔵という人が自ら設計して作った未完の個人住宅。渡辺は統合失調症で、かなり奇想な設計をしたたため、当時の新聞に「狂人の建てた化物屋敷」と書かれた。

両人とも小説の中では「変人」とされています(ほんとにそうだったのかもしれません)。


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麗子の誕生日が7月24日、芥川の命日が7月24日・・物語はこの日に向かって進んでいきます(途中で気が付いた)。

作中、九鬼は何度も麗子に誕生日を確認しています。

これは何かありそうと思いながら読んでいくと、ラストは想像の斜め上をいってました。

誕生日を迎えた麗子が6歳になった時、芥川は自殺。

それまであんなに大人びた口調だった麗子は一転し、本来の子供になって「グリコ」というじゃんけん遊びに興じます。何もなかったかのように。

捉え方は人それぞれですが、麗子は「恋」という夢を見ていたのじゃないかと思いました。

芥川が死ぬことで、夢から覚めたのではないかと。

読んだ後はほんとに心が震えました・・久世さんの文章は、耽美な気持ちになれるので大好きです。

大正、昭和文豪好きな方は是非読んでみてください。