【橋下府政ウオッチ】

 「使える」英語と「入試で受かる」英語。今なら迷わず前者を選ぶが、大学入試を控えた高校当時だったらどうだろうか。

 橋下徹知事は、大阪府内の生徒・児童の英語力向上を目指し「使える英語プロジェクト」を打ち出した。実践的な英語を身につけさせるため、TOEFLなどのスコアを目安とする考えだ。

 「もはや好き嫌いの問題ではない」とプロジェクトの対象になった府立高校の校長。アジア諸国の生徒の英語力が軒並み上昇している中、日本が取り残されているとし「5年から10年以内に日本は世界から駆逐される」とまで言い切る。

 言い過ぎにも感じたが、海外勤務の友人に聞くと、ビジネス界ではそれ以上の速さで英語の標準化が進んでいるという。就職時にTOEICなどを評価基準にするところが増え、企業が「使える」英語力を求めていることは間違いない。

 生徒たちの意識も高まってきている。プロジェクトの対象になった府立高校の1校では、2年から40人程度が新しい英語の授業を選択できるようになった。新入生対象の説明会には、4割にあたる約140人が、会場に詰めかけた。

 しかし、大学入試がからむと生徒のトーンが変わる。「使える」英語と普通の授業との両立は難しく、そのはざまで悩む生徒の声もあるという。

 「すべての問題は大学入試制度にあります」というのは、大手学習塾の講師。

 「だれもが英語を話せるようになりたいと思っているが、大学入試に合格しなければ将来はひらけない。良い大学に行くことが目標としたら、現行制度に合う勉強法を続けたいと思うでしょう」というわけだ。

 橋下知事は、一連の英語教育改革について「府が試しにやってみて、大学入試を変えればいい」と話す。

 しかし私自身、高校2年の後半からは、合格することだけに神経をすり減らした経験がある。受験を前にした生徒らに、大局的な見方を求めるのは酷かも。まずは入試から、変革が求められているのではないか。(秋山紀浩)

【関連記事】
橋下府政ウオッチ“最強の交渉術”どこまで
韓国のエリート教育から尖閣問題を考える
大阪の子供に笑われる? 橋下知事、USJ70万人招待計画の結末は…
英語化の楽天社内にスティーブら登場 三木谷氏はミック?
「100円英会話」脚光 海外講師と無料通話で価格破壊
震災で見えた日本の危機とは… 復興に生かせるか?

「この記事の著作権は 産経新聞 に帰属します。」