ネット上にはTOEIC⇔TOEFLのスコア換算表が溢れており、よくある表記としては

 

四角オレンジTOEIC 600 = TOEFL IBT 60 (短大留学)

四角オレンジTOEIC 730 = TOEFL IBT 80 (学部留学)

四角オレンジTOEIC 880 = TOEFL IBT 100(大学院留学)

 

があります。これを見れば「TOEIC700点代取れたから留学できるレベルになった!」と思うのも無理はありません。

 

 

しかし、実際はこの換算表通りになることはまずありません。TOEIC 730 は TOEFLでは良くても60点代 (換算スコアから20%程度低め) となるのが普通です。両テストの作成元ETSがこの換算表の妥当性を否定しています。

 

 

 

■誤解の原因1 : 「TOEIC ⇔ 旧型式TOEFL 換算式」  

この誤解が広まったままである原因はかれこれ20年数年前にETSが公表していた以下の換算式です(現在は撤回

 

 

TOEICスコア × 0.348 + 296 = TOEFL PBTスコア

 

 

PBTとは?: 在のIBT(スピーキング、ライティングを含む4技能)の前に存在したペーパー形式(リスニング、文法、長文読解)。内容は別ですが、形式としてはTOEICに類似のもの。

 

 

■誤解の原因2: 「IBT TOEFL  ⇔ PBT TOEFL 換算表」 

2005年に4技能のIBTが開始になりましたが、IBT ⇔ PBTではスコアの数値表記が異なる為、以下の換算表が発表になりました(現在は撤回。 

 

この表によると IBT 100 = PBT  600,  IBT 80 = PBT 550 となっています。

 

 

 

 

■「PBT から ITP」 の名称変更

その後、制度上はPBTは廃止されましたが、実態としてはITPと名称を変えて継続されています。

 

ITPとは?:廃止したPBTをそのまま流用し、「国内大学での語学レベル判定用」と目的を変えた形式

 

 

■IBT ⇔ ITP の難度差の顕在化

上記の流れから IBT100/80= ITP (PBT) 600/550 との認識が定着しましたが、時間が経つにつれ以下の点が明確になりました。

 

四角グリーン「4技能のIBTはITPよりはるかに難しい」

四角グリーン「故に ITP600 (550)を取れても IBT100 (80) には足りない」

 

 

TOEFL専門講師の間ではこの点は早々と認識されていました。ただ、肝心のETSがこの点を修正することなくかなりの時間が経過し、その結果以下の誤った認識が定着しました。

 

 

TOEIC 730 = TOEFL PBT(ITP) 550

下矢印

TOEFL PBT(ITP) 550 = TOEFL IBT 80

下矢印

故にTOEIC 730 = TOEFL IBT 80(学部留学レベル)

 

 

■ETSによる変換式・換算表の撤回

その後、ETSは「TOEIC ⇔ TOEFL PBT換算式」 「TOEFL IBT ⇔ PBT(ITP)換算表」両方をひそかに撤回しましたが、「撤回しました」とのアナウンスメントはしていないので、ネット上ではいまだに古い(誤った)情報がほとんどとなっています

 

 

「TOEFL IBT ⇔ PBT(ITP)換算表」に関しては以下のようにETS JAPANのFAQページに"テスト形式が異なるためスコアを一概に比較はできません” と掲載がありますが、「いつの間にか掲載されていたの?」という状態で、語学関係者でもほとんどが知りません。

 

 

ETS JAPANのサイト

 

 

皆さんは気を付けてね。