彼女と出会ったのは、会社を退職する約三ヶ月前。
営業先の子、うちの会社が新しく導入するシステムの
教育のために、毎週同じ時間に訪問して、話すようになった。
彼女の少し、冷めたような口ぶりと、途切れ途切れに話をする
その空気感に惹かれた。
彼女のことで頭が占められるのに時間はかからなかっただろう。
退職することは直前まで告げなかった。
彼女と過ごす、毎週ほんの一時間だけが
いつまでも続けばいいのにと思った。
その一時間のうちだけは退職する事実は無いことにしておきたかった。
会社を去ることを告げたのは、3月半ば、訪問が最終という時だった。
告げた後、彼女の目を見て話すことができなかった。
「そうですか・・・・・・・・・」
沈黙の時間があった。
その二日後、彼女から小さな贈り物と
小さな手紙が届いた。
彼女も自分と同じ思いであればいいのにと
切に思った。
いや同じ思いなのか、とさえ思った。
お返しにハンカチとアドレスを書いた手紙を
郵送で送った。
辛くなってしまうから、あえて郵送という手段を使った。
その2週間後、会社を退社した。
退職してすぐ、引越しをした。
同棲をするため、男と。
年末には結婚をする。
頻繁には来ない、彼女からのメールに
胸の苦しさを感じるのはなぜだろう。
そんな思いを抱えながら
私は結婚をし、子供を生み
母になっていくのだろうか。