父が まだ癌に倒れる前は。
朝早く。4時になると、飼っていた犬の散歩に出かけるのが日課でした。
徹夜で作業していた私に「おーい、飲むか?」 と
いつも差し入れてくれたのがMコーヒーでした。
大正生まれだった父方の祖母も Mコーヒーが大好きで。
(おばあちゃんなのに 甘いミルクコーヒーが好きな人でした。)
寒冬の日に 缶を湯せんにかけて熱々にして。
アチアチ 言いながら お布巾に包んで
美味しそうに飲んでいるのを
私が子供の頃、良く見かけました。
今はもう祖母はこの世にいないし。
父は闘病中で
コーヒーは飲めなくなってしまったけれど。
なんとなぁく。
Mコを見ると
自分がまだ実家にいた 若い頃や
自分がまだ子供だった頃の
ある日の風景 が頭によみがえります
2009年の日記より。
ホットのMコ―ヒー
まだ実家にいた頃の話です。
仕事の徹夜明け
午前4時過ぎの私の部屋についていたテラスの階段を
誰かが゛登ってくる音が聞こえます。
そしてその足跡が窓の外から
「コンコン」と、入り口をノックします。
「おーい、10円玉あったら1枚くれー」
犬の散歩のついでに
「ダイドーの缶コーヒー」で暖をとりたい 父の声です。
「あるよー、細かいの。」
はい、どうぞ。
と。窓を開けて手渡し。
一時間くらい経つと
また誰かがテラスから
階段をのぼってくる音がし
窓を「コンコン」と叩きます。
でも声がしません。
おや? と思いカーテンを開けると テラスに。
暖かいMコーヒーが1つ 置いてあります。
父の姿はもう その場にはいません
庭の端の方で箒を持って葉っぱを掃いていたりします。
自分の分のコーヒーだけなら
私から10円玉を持って行くことはなかったと思うので
私から持って行った10円は 自分のコーヒーではなくて
私に買ってきてくれる為の10円だったんだ。 と にんまり^ ^
した ということがありました。
父は。
私が朝まで起きていると
いつも決まって ホットのMコーヒーを買ってきてくれます。
自営業だったので。
いつも仕事の忙しい父親が
休日でも家でんびりしている という姿を ほとんど見たことが無く。
家族で旅行に行ったり。
公園に連れて行ってもらった
なんと言う 子供の頃の記憶もほとんどないのですが
それでも一度や二度はどこかに出かけたことはあるはずなのに
なぜか
今は亡き 父との思い出を振り返ると
そう言った 家族での旅行の思い出などではなくて
この 「Mコーヒー」 を通じてよみがえる
朝の「ノックの音」だったりします。
おかしなものですね
(A;´・ω・)フキフキ
2011年の日記より
私にとってMコーヒーは今も
なんとなく「お父さん」のイメージが強いです。
( *´艸`)クスクス