【CDアルバムレビュー】遊び心満載・バランスの取れた傑作! | トドのひとりごと。~the second~

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アンティック-珈琲店-「マグニャカルタ(CD+DVD)」






今回はアンティック-珈琲店-の2ndフルアルバム「マグニャカルタ」を取り上げます(CD+DVD盤のレビュー)。

※前ブログアップ分のリメイク版です。






【各曲紹介】




:素晴らしい曲(以前の評価では★×4.5~5.0)

:良い曲・まずまずの曲(以前の評価では★×3.5~4.4)

黒:普通・及第点の曲(以前の評価で言うと★×2.5~3.4)

:イマイチな曲(以前の評価で言うと★×1.5~2.4)

:駄曲(以前の評価で言うと★×1.4未満)




1.LOCK ON ☆ザ☆ 御 NEW 世界

「自分を信じて新たな世界に飛び込め」という前向きなメッセージが込められたアップテンポロックナンバー。全体的に力強さやがむしゃらさが感じられ、また畳み掛けるようなメロディ展開が秀逸で聞いててテンション上がります♪


2.スマイル一番 イイ♀

10thシングル曲。「笑顔が素敵な女性は一番輝いているんだ」という想いが溢れた爽快感たっぷりのダンスチューン。打ち込みやシンセを積極的に取り入れてるあたり、T.M. Revolutionを彷彿とさせる部分もありますね。この曲を聞いてると前作に比べてみくの歌唱力が格段に上がったことがよく分かります(声質も曲にピッタリ)。ダンサブル・リズミカルな展開はもちろん、サビでの伸びやかなみくの歌唱も聞きどころ!


3.NYAPPY in the world 2

前作に入っていた「NYAPPY in the world」の第2弾。前向きなコンセプトそのものは変わっていません。メルヘン・遊び心あふれるAメロ、「L.O.V.E NYAPPY!」とライブでは大合唱間違いなしのBメロ、そしてメッセージ性が強く力のこもったサビ部分…とめまぐるしく場面転換がなされていきます。そして間奏での演奏隊の演奏が小刻みに刻んでるからか何かかわいく感じますね。


4.#*-@☆ピポパポテレパシー☆@-*#

思春期の甘い恋の気持ちを唄った、アンカフェ流歌謡テイストロックナンバー。間奏でのギターの使い方といい懐かしさをどこからか感じられます。そして全体的にロック色が強く意外と厚みがあるのが印象的ですね。メロディ自体は地味だけど質はそれなりなので安心して聞けます。


5.メイプルガンマン

8thシングル収録曲。これぞ彼らの真骨頂ともいえる「原宿ダンスロック」を極めたアップテンポ・キラーチューンに仕上がっており、ノリが異常に良く聞いてると自然と体が動きます。みくのラップも良いアクセントになっていますね。アンカフェのシングル曲の中では一番の出来!


6.プッシンプリン

ゴリゴリロックな感じが全体から感じられるアッパーナンバー。歌詞は「お菓子作り」と引っかけたかなり卑猥な表現が多く詰まっています(「お菓子」→「犯し」、「貴方のプリンをかき混ぜろ」、その他ピー音が入ってる所も…)。メロディも歌詞に合わせて?かなり変則的・ひねくれた感じに仕上がっています。サビのメロディが薄味なのとみくの歌唱が若干埋もれてるのが気になりますが、何か耳に残る曲です(汗)


7.七色クレヨンで描く光
「『うつ』からの脱却」をテーマとしたミドルテンポナンバー。雰囲気は優しくて明るめ・空間の広がりが感じられるサウンドに仕上がっていますが、歌詞の世界観が混ざり合って非常に切なく叙情的な一面も持っています。みく自身も感情を入れた歌唱がうまく出来てますね。バックの演奏も聞いてて心地よく、地味ながら良い曲だと素直に思えますね。


8.スノーシーン
11thシングル曲。「失恋への未練の気持ち」を綴った切ないダンサブルナンバーです。タイトル通り、出だしから「冬」を感じさせるアレンジをふんだんに盛り込みつつ、彼らお得意のダンスロックサウンドに仕上がっています。ここでもみくの歌唱力が如何なく発揮されていて曲の雰囲気を盛り立てていますね。


9.自己愛主義者の未熟な悪魔

恋の駆け引きをテーマにしたテクノチック・シンセサウンドを多用したダンサブルなナンバーです。棒読みのように聞こえて実はしっかりと曲に合わせて声質を変えているみくの歌唱が印象に残りますね。畳み掛けつつどこか不安定さも持ったメロディ展開がツボです♪


10.巡り逢えた奇跡

7曲目と同様、爽快な優しいミドルテンポナンバーです。「君も僕も一緒に巡り逢えた奇跡を胸に抱いて一緒に生きていこう」というメッセージが込められた歌詞も秀逸ながら、間奏を始めとするバックの演奏(特にギターとドラム)がうまく活きていると思います。ツメの甘さはあれどみくの歌唱も光ってます。


11.BondS~絆~(magnya mix)

9thシングル表題曲。歌謡テイストが盛り込まれたダンスチューンで、歌詞はタイトル通り「絆」がテーマです。出だしから最後まで、演奏隊が織りなす小刻みかつダンサブルな刻み方・演奏がたまらなく良いですね!この曲を聞くと坊くんのラストライブの映像を思い出します…


■付属のDVDについて
CD+DVD盤にはDVDがついており、今作に収録されているシングル4曲のPVが収録されています。前作のような質問コーナー等は無く単にPVだけなので、前作のような内容を期待している人にとってはもの足りなさを感じると思います。でも肝心のPVは4つとも良い感じです。メンバーがコスプレに挑戦した「メイプルガンマン」が個人的には好きですね~あと振り付け?のある曲もあったりと、かなり意欲的なものになっています。





【総評】




全体の評価は100点満点で、

100点~95点:紛れもなく名盤
~90点:かなり良い作品
~80点:良い作品
~60点:まずまず・及第点の作品
~40点:イマイチ…
それ以下:駄作



評価:96点




2010年1月の武道館ライブを機に現在活動休止中のアンティック-珈琲店-。今作はそんな彼らの2枚目のフルアルバムです。「自分の中での今までの最高傑作は『マグニャカルタ』」とボーカルのみくがブログで言っていた通り、まさに「これぞアンカフェだ!」と言うのにふさわしい素晴らしい作品に仕上がっています。



彼らはもともと「原宿ダンスロック」「ノンジャンルビジュアル系」を掲げています。前作「色彩モーメント」ではその傾向を持ちつつもどちらかというとV系ロック色を出し、また良い意味でも悪い意味でも荒削りな演奏・サウンド・歌唱が展開されていました。そして今作では演奏・歌唱で大幅な成長を遂げており、それでいて以前の良い意味での遊び心や荒削りさは残されているという、絶妙なバランスが構築されているのです。


また今作での曲ごとのメロディの良さや独自性を生かしたサウンドは神がかりすぎてます(苦笑)そしてダンスロックという最大の武器を持ちつつも、ロック色を前面に出した6曲目・優しくて壮大な感じのある7・10曲目…などなど、それぞれの曲に色があり何回リピートしても飽きないですね。

さらにパッケージ・ジャケ写・歌詞カードともに綺麗で丁寧に作られているのも好印象。今作の歌詞カード・ブックレットには彼らの国「ニャッピー県」の憲法?(主に「ファンの心構えについて」が書かれています)と県の歴史・県のマップが載っていたりと、非常にユーモアあふれる面白い内容になっています。



マイナス点をふと考えてみるとほとんどないけど、強いて言うならもう少しみくのボーカルの声量があった方が良いかも(一部の曲で埋もれてる感は多少あるので)。あとは曲のタイトルからも分かる通り、独自性が前面に出ているので人によって好みが分かれそうです。それとDVDに特典映像(オフショットとか)を入れて欲しかったかも(前作のDVDにはあったので…)。


とはいえ独自の色を見事に最大限発揮した素晴らしい作品を作り上げてくれてます。このアルバムを最後にギターの坊くんが脱退し、takuya・ゆうきが加入して第2期のアンカフェがスタート、その後2枚のオリジナルアルバムをリリースしてますが、正直悪い意味でまとまりすぎてて今作よりかは劣ってるのが事実。「坊くんがいた頃の今作を今のメンバーで越えれない」というジレンマがある意味活動休止に追い込んだところもありそうです…しかし彼らは戻ってくると宣言してるので、遅かれ早かれまた活動を再開して今作のような傑作を作り上げてくれることを期待してます!