飛鳥山の桜は夜でもにぎわう。

 それは酔客がメインだが、夜に桜がライトアップされると、昼とはまた違った顔を見せる。

 そこには、昼にはない妖美な美しさを醸し出している。


 都電沿線のシンボルの花でもある、もうひとつの花・バラは残念ながらライトアップされることはない。

 静かに、都電の前照灯によって光が当たるだけである。


 それでも、暗闇に光る赤いバラは、見ていて楽しい。

 夜中に散歩しながら、こうした赤や黄色や白といった色とりどりのバラを鑑賞できるのも都電ならではだろう。

 ほかの鉄道にはない、味である。
都電ひとつばなし-夜バラ

 都電車内からこぼれる光が足もとのバラまで照らす。

 帰宅を急ぐビジネスマン、学生たちの心にバラを楽しむ余裕はあるだろうか?


 疲れた時に、ふと眼を外に向ければ、案外、自分の歩いている道がバラ色だったりするのかも?

 そう思って、明日も頑張ってください。