9001形がデビューしてから間もない昨年、やっと9002形がデビューした。
東京都交通局のイメージカラーを引き継がない9000形は、1が赤、2が青である。
どちらも昭和レトロの車両だが、昨年デビューしたばかりの9002形から180度方向転換したかのように、新型車両の8800形が、本日、お披露目された。
カラーリングも、そして車体構造も都電らしくない、明らかに富山ライトレールによって路面電車界が活性化したことを意識しているのだろう。
都電の車両のバラエティが増えることは、都電好きとしては率直に嬉しい。
あにより、9000形が登場する昨今まで、7000形、7500形、8500形の3タイプしかなく、黄色い塗色の7022形が登場してから、少しずつではあるが、都電のラインナップが豊富になってきた。
例えば、子供の手を引いた母さんが子供と
「次の都電はなにかな?」
「ボク、青色のやつだと思う」
「じゃあ、お母さんは新しいのだと思うな」
なんて、話し合ったりする。
そんな光景が電停で繰り広げられれば、都電はまた自然と親子の記憶の中に根づく。
かつて、黄金時代ともいわれる昭和30年代の都電と生活を一緒にしていた人々は、いまだに都電といえば昭和30年代といってはばからない。
路線が多くあり、走る場所も、生きる人々も多様で、雑誌としても取り上げやすい。
その反面、今の都電は1路線しかなく、車窓は単調で車両もバラエティに乏しかったから、そうした意見を否定することはできない。
8800形の登場で、また都電は厚みを増した。
これを機に、「今度は新路線の建設を!」という機運になるだろうか?
新型車両以上に高いハードルではあるだろう。
そのハードルを越えるには、都電の持つ力だけではなく、全国で走る路面電車の力も必要である。
路面電車は次世代交通の旗手といわれながらも、そうした認識は一部の自治体関係者や鉄道マニアにしかなく、いまだに市民の理解度は低いのだから。
ただ、小さな一歩ではあるけれど、確実に都電は前に進みつつある。