9002形の試運転が始まっているが、とうとう正式なお披露目イベントが都電車庫で開催されるというので、足を運んでみた。


 都電の日、路面電車の日と変わらないようなにぎわいだが、毎年のイベントと比較して目立ったのが女性の鉄道好き、いわゆる「鉄子」の存在だ。


 いつもなら、子供を連れたママ、要するに子供が喜ぶからという口実で足を運んでいる女性が多いのだが、今回のイベントでは一人で来て、カメラを構えている女性が多かった。


 ただ、残念に思うのは、これだけ男性の鉄が多い中で、例えば「彼女」を連れて来るという鉄道マニアが少ないことだ。いや、彼女がいないならともかく、こんなにたくさんの「オトナ」が来ているのだから彼女に限らず、妻を連れてきてもよさそうな気がする。


 カシオペアやトワイライトといった優雅な列車には女性は嬉々として乗車する。

 都電にカシオペアやトワイライトのような豪華さはないが、女性が喜びそうな仕掛けはある。


 むしろ、先行する男性鉄道マニアが、そうした女性たちに鉄道の魅力を説明できていない。

 そこが、まだまだ鉄道マニアが一偏狭分野に追い込まれている理由と思える。


 もちろん、趣味の世界なのだから、「自分が楽しければいい」で済まされるのだが…。


 ただ、昭和30年代、東京をくまなく走っていた都電は、好き嫌いを問わず、そして男女の区別なく日常的に利用しなければならない交通機関であり、毎日乗車していれば、自然に都電が好きになったり、身近に感じたり、詳しくなってしまう環境にあったわけで、今の荒川線しか残っていない状況をとは大きくかけ離れている。


 それは、発展を続けるJR・私鉄も同様で、自動車や飛行機、バスといったほかの交通手段が選択できる今、鉄道の魅力をマニアに押しとどめるのでは、少しずつ鉄道は廃れてしまい、いずれは消滅することになるだろう。


 そういう意味で、マニアは大きな使命を背負っていると自覚できるだろうか?


都電ひとつばなし-9002形お披露目


 9002形は9001形を踏襲した車両となったが、クリーム色に青という塗色となった。

 

 これまで東京都交通局カラーと呼ばれる白と黄緑の伝統色は採用されず、もし9003形が登場するとなった場合、9000形の慣習を引き継ぐようなカラーリングでお目見えするのだろうか?


 それとも、交通局カラーは時代とともに変化してしまうのか?


 都電の色は交通局のシンボルでもあった。

 9000形の登場は、そうした交通局が長らく培ってきた歴史も大きく変えようとしている…。