2007年は近年まれに見る鉄道ブームだったといわれる。


 これまで鉄道ブームは定期的に巻き起こってきたが、今回のブームが異なるのは、女性の鉄道オタクが登場したことだと分析されている。



 この論について、異論をさしはさむ余地はない。


 秋葉原が、「世界のアキバ」としてクローズアップされ、オタク文化が市民権を得た昨今。


 鉄道マニアは人間関係をまともに築けない人々といった偏見も薄れつつある。



 しかし、である。



 鉄道マニアが世間に認知され、さらには女性のマニアが登場して鉄子とまで呼ばれるようになりながらも、鉄道マニアは女性にモテるようになったのか?



 大学の鉄道研究会を覗けば、いまだに女性の部員はほぼ皆無で、男子部員の間で女性に関する話題はまったく俎上に上がらない。



 鉄道アイドルなる新しいジャンルが登場し、さらに鉄道オタクの潜在的イメージであった「キモい」を払拭しようと努めているアイドルがいるものの成功しているとは言い難い。



 一方、仮面ライダー役を務めた俳優も鉄道マニアではあり、お母さん世代を中心に好感を得てはいるものの、大きな波にはなっていない。



 ほかにも、かつてTBSで放送されたドラマ「STUND UP!」では、ジャニーズ事務所所属のイケメンアイドルが鉄道アイドルの役を演じているものの、だからといって鉄道マニアのイメージが向上したという話も聞かない。



 もしかしたら、鉄道オタクの条件としてモテないということが内包されているのではないかと穿ってしまうほど、鉄道オタクのイメージは固定したまま向上どころか変化することさえない。



 そこまで女性を嫌悪、忌避する鉄道マニアとは?



 その理由のひとつとして挙げられるのは、他人を顧みない行動がある。もちろん、鉄道マニア全員がそうした人たちばかりではない。しかし、イメージが先行してしまうのは、やはり、そうしたオタクが目立ってしまうからなのである。



 自戒も込めて言えば、「公共」の場で運行される鉄道なのだから、利用者に迷惑をかけないマナーを心がけることは、オタクである前提条件であるといえるわけだが…。



 



 そんなことを考えていた矢先、知人の女性から合コンに参加しないかというお誘いを受けた。


 


 参加する女性は全員20代前半で、まったく鉄道には興味がない子(20代で“子”と表現するのは、いささか逡巡するけれど…)ばかりだという。



 正直な話、それほど知識を持ち合わせていない私にとって、鉄道の濃い話はできない。


 それでも鉄道に興味がない女性にとってみれば、酒を飲んで楽しむ席で「0系」だの「寝台急行銀河」だの「都電荒川線」だのといった鉄道オタクにとっては「そんなのは初歩」と思える語句が出てくるだけで、「この人は鉄道オタク!!」と思い込むだろう。



 果たして、鉄道オタクというだけで女子は無条件に敬遠してしまうのか?


 そして、鉄道オタク=キモいは、不動の真実なのか?



 鉄道オタクはモテるのか?


 今、その壮大なる社会実験の幕が上がる。



 (つづく)