誤解を恐れずに言えば、鉄道ファンの大半はJRが好き。
それ以外の人でも、地元の私鉄が好き。
そもそも日本の鉄道の約8割はJRが占めているのだから、広く読者に手に取ってもらおうとしたとき、単行本や雑誌はJRを対象とするのが一般的だし、常識的だ。
翻って、路面電車は全国に20しか事業者が存在せず、昔ならいざ知らず乗車した経験がない人の割合も増えてきた。
そうなると、単行本はまず手に取ってもらえない。
路面電車が好きというのは、鉄道ファンを引き付けるには、少々魅力不足なのである。
そもそも、路面電車は都市内交通として発達してきた。
要するに、地元の人だけが使うようなシステムになっているのだから、余所者が興味を持つ必要がない。
だから単行本にしたところで売れない。
そんな単純な論理である。
しかし、雑誌の一特集となると、事情は異なる。
ふらりと旅に出て、地元の路面電車に揺られる。
途中下車も簡単だし、頻繁に走っているからまたすぐに乗れる。
そもそも、城下町には市電が整備されていたから、路面電車が走っている街は比較的に歴史があって旅行や散策を楽しむには適している。
そうしたことから、最近になって雑誌で路面電車を取り上げるのだけど?
といった打診をいくつかいただく。
それもこれも、昨年からの鉄道ブームによる影響もあるのだろうが、路面電車が見直される風潮はヨーロッパ各国にもあるので、どちらかというそうした路面電車復権の波が、やっと日本にも押し寄せてきたのかも? というのが素直な感想。
しかし、いまだ新しく路面電車を新設したいと声を挙げているのは、宇都宮市・豊島区・堺市ぐらいで、実現性が高いのは、このうち堺市ぐらいだろうか。
路面電車再興ムードが冷え切らないうちに、手を打っておかなければ、そのまま立ち消えてしまう可能性は否定できない。だからこそ、鉄道雑誌などではなく、一般雑誌でも路面電車を紹介するような記事が書けるのは、ちょっと嬉しい。
全国の路面電車をグラビアで紹介した『週刊大衆』は、10月20日に発売。
ぜひ、ご一読を。