巣鴨新田




ある出版社から、「都電の全駅に下車してきてもらえないだろうか?」という仕事依頼が来る。


久しく仕事をしていなかった出版社からだったので、当初、仕事依頼のメールが来たときは「一体、何事?」と思っていたのだが、依頼内容を聞いてみれば納得ともいうべきか。


 そんなわけで、早速、時間をこさえて都電全電停下車に挑んでみた。

 といっても、仕事依頼は、「全電停に下車すること」ではなく、「全電停の写真を撮影してくること」というミッションなのだが、まぁ、全電停の写真を撮影するには、全電停に下車しなければならないから、同じと言えば同じ。


 ただ、完遂してから思ったのだが、乗ったり降りたりしつつ、都電を待っている時間も含めれば、実は都電全電停を撮影するには最初から最後まで歩いた方が早いのではないか、ということだ。


 なにせ、都電は全長12.9キロメートル。
 線路に沿った側道がないとはいえ、今回、律儀にすべての電停を都電で乗ったり降りたりを繰り返したら、ゆうに6時間もかかってしまった。


 最後の早稲田電停を撮影したときは、すでに日が傾き、写真もどこか夕景を思わせる色になっていた。

 鬼子母神電停で、近隣住民と思われる方々が、都電を待つ間に副都心線の駅がどこにできるのか、といった話題に話を咲かせているのが印象的だった。
 
しかし、ここまで都電のブログを書いておいて、今回の仕事で荒川2丁目とか巣鴨新田という電停には、初めて降り立ったわけだが、やっぱり、こういう電停を利用するのは、地元の人が圧倒的だというのを実感した。