モータリゼーションの発達によって、東京都内には自動車が溢れた。  そのため、都電は邪魔者扱いされ、順次撤廃されていく。  都電も、その流れを受けて廃止される予定だった。  ところが、代替交通がないことがわざわいして、今でも残っている。  都電通りと呼ばれる、梶原-町屋駅前を線路沿いに走る幹線道路は、補助90号線と呼ばれる。  この補助90号線は、明治通りの渋滞を解消するため、荒川区から拡幅するよう要請が出されていた。これは都電を廃止するかどうか議論されていたさなかに出された要望で、補助90号線が拡幅されるとなると、当然のことながら都電は廃止させられることになる。  今となっては荒川区の財産である都電荒川線だが、当時は荒川区でさえもその必要性を疑問視していたことがわかるエピソードである。  今、補助90号線は拡幅工事される気配は感じられないが、小台電停周囲には、今日の一葉のような東京都が事業予定地として確保している土地が、補助90号線に沿って点在している。この土地をどのように利用していくのかは不明だが、まだ都電をなくして道路を拡幅する……という意見も燻っている。東京都事業予定地は、どのような形で利用されるのだろうか。 東京都事業地