比較的、若者でにぎわう町屋駅前を降りて、京成町屋駅の下を抜けると、からくり時計がある。  このからくり時計、大正ロマンを感じさせてくれるような人形と音楽で、以前はちょっとした名所になっていた。  一日に何回も動くわけではなく、4、5回ほどだけしか動かなかった。そのため、このからくり時計を見にやってくる近所の人もいた。  すぐ近くにはスーパーもあって、夕方の動く時間には喧騒に包まれた町の中で、からくり時計の人形たちが踊り出すと、自宅に帰る足を止めてみんなこの時計を見入るのだった。  一分ほどの人形たちのダンスタイムが終わると、見物客は三々五々家に戻っていく。  熱心に見入っていたら、「いつの間に、こんなに人が?」と思うぐらい見物客が集まっていたことがあった。  そんな町屋の名所も、からくり時計の故障したために魅力のない場所になってしまった。  昭和を感じさせる都電荒川線と、大正ロマン漂う町屋のからくり人形。  町屋駅の裏側と呼ばれる場所には、そんな昔がいっぱいつまっていた。 からくり時計